82（樹side） ページ34
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樹side
ポーンと腑抜けた到着音が鳴って扉が開くと、来客用のソファーの前に、松葉杖のAと城ヶ崎梓の姿
こっちには気付いていないようだから、近くの柱に２人で隠れて様子を伺う
「貴女は、そんな立場の人です。
価値があって、敬うべき女性なんです。」
耳を澄ませて聞くと、Aの優しくも力強い声がロビーに小さく木霊した
「貴女がした事は、もしかしたら会社の大損害に繋がるような事でした…許される事ではありません」
そう言うAの声は、いつもより若干低く、怒りを含めながらも、周りに聞こえぬような配慮のされたボリュームで
恐らく彼女の事だから、城ケ崎梓にも気を使ってるんだろうな、と考えさせられる
海「Aちゃん怒ってるよね…？止めた方が…」
樹「大丈夫だよ、聞いててみ」
今にも止めに入ってしまいそうな海青を引っ張り、次の言葉を静かに待つ
彼女なら…彼女ならきっと。
「だけど…私のした事も、知らぬ間だったにせよ、梓さんの心を傷つけてしまった」
ほら…。
「許されるべき事ではありません
…本当に、ごめんなさい」
自分のした事に責任と誠意を持って謝れる強い女
城ヶ崎梓の名前を出した時の、複雑そうな彼女の顔を思い出すと、きっとAはこんな風に謝るんじゃないかって、そんな気がしていた
一番辛かったのはAだろ？
そう言ったとしても、彼女はきっと首を振るだろう
海「げっ、見つかったじゃん！！」
と彼女達の前に姿を現し、城ヶ崎梓が去った後
ぽん、と頭に手を乗せると、堪えていただろう涙が、彼女の目にジワリと溜まっていく
樹「泣いてもいいよ」
「かっ、海青さんもいるからやだ」
海「お、俺居ない事にしていいよ！？笑」
樹「ふふっ笑」
ふぅ、と小さく溜息をつき、気持ちを整えて涙を一生懸命に止めたAを見て思わず笑みが溢れる
「はっ！コンペ勝ったんだって！！」
樹「まじ！？やったじゃん！！」
「うん！早く行かなきゃ！！」
樹「ちょっ」
海「こら！笑」
「わっ！」
松葉杖の存在を忘れて走り出そうとしたAの身体を、海青と共に押さえた
照れた顔で苦笑いし、ゆっくりと歩き出した彼女の横で、一緒に歩みを進める
そんな風に思われる青山陸が…羨ましくて。
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りい(プロフ) - とても良かったです！！！ (2021年10月11日 2時) (
レス) @page50 id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 美憂さん» 読了、コメントありがとうございます！素敵だと言っていただけるいっちゃんが書けて良かったです(^^) (2021年3月15日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - 最高な作品でしたー。いっちゃん素敵！ (2021年3月13日 22時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます！ぜひ読ませていただきます！！ (2020年3月10日 23時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - まいぽんさん» 返事が遅くなってしまってすみません涙 今度また藤原樹君のお話を書かせて頂いた時には、まいぽんさんをもっと虜に出来る様に頑張りますね(^^) (2020年3月10日 18時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭
| 作成日時：2019年1月7日 20時
