73（樹side） ページ25
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樹side
樹「あんただろ？全部」
仕事に戻る社員を横目に、小さな声でそう言うと、睨んだままだった城ケ崎梓はふいと目を逸らした
押し黙る女に、外へ出るように促す
だが、俺の後をついて来ようとはせずに
その場で立ち尽くしたまま
樹「ここであんたのした事、
大声で言ってやってもいいけど」
梓「っ…」
ドアの方へと向けた足を戻し、城ケ崎梓に近寄ってそう言うと、渋々とオフィスから立ち去った
ガラス張りの部屋から見えないよう、エレベーター前まで来て振り返り、女を見下ろす
梓「…言えば良かったじゃないあの場で。私が資料を隠して、Aちゃんに取りに行かせて…
鍵を閉めて閉じ込めた事」
樹「言ったらどうなったと思う？」
梓「私の信用も、パパの信用も全部無くなるわ」
樹「…ほんと、自分の事しか考えてないんだな」
梓「…え？」
険しい表情で首を傾げた城ヶ崎梓は、本当に言葉の趣旨が理解出来ていないようだった
Aをあんな目に合わせたのは、きっと青山陸が大切にしてる女の子だって分かってした事だろう
そんなに青山陸の事が好きなら、分かるはずだ
樹「お前の立場じゃなくて
青山陸は…どうなる？」
梓「…陸？」
樹「もし資料が届かなかったら、根気強く粘って仕事してた青山陸はどうなったと思う？
今まで培ってきた信頼は崩れて、掴んだチャンスも棒に振った結末は、安易に想像出来んだろーが」
唇を噛み、取り返しのつかない事をしてしまった罪悪感からか、小さく震えているのが分かる
Aを思うと情けをかける気も起きず
エレベーターで下へ向かうボタンを押す
梓「せっかく婚約までしたのに…
陸は彼女の事が好きだから私とはもう付き合えないって言うのよ…？そんなのあんまりよ」
樹「は…別れてんの？」
梓「そうよ。何か文句ある？」
まじか…俺勘違いしててっきり…
まあでも２人がどうであれ
Aが青山陸を好きなら、俺が入る隙はないか
梓「…何で彼女ばかりなの？
何で私じゃ駄目なのよ…」
人を乗せて運ぶ箱の行き先を目で追いながらも、ゆっくりとしゃがみ込む城ケ崎梓を目の端に捉える
樹「Aの良さは、Aを好きになった奴じゃないと分かんないんじゃん？……俺みたいに」
到着の合図と共にエレベーターへと乗り込んだ
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りい(プロフ) - とても良かったです！！！ (2021年10月11日 2時) (
レス) @page50 id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 美憂さん» 読了、コメントありがとうございます！素敵だと言っていただけるいっちゃんが書けて良かったです(^^) (2021年3月15日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - 最高な作品でしたー。いっちゃん素敵！ (2021年3月13日 22時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます！ぜひ読ませていただきます！！ (2020年3月10日 23時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - まいぽんさん» 返事が遅くなってしまってすみません涙 今度また藤原樹君のお話を書かせて頂いた時には、まいぽんさんをもっと虜に出来る様に頑張りますね(^^) (2020年3月10日 18時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭
| 作成日時：2019年1月7日 20時
