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各自デスクの上や下、オフィス内の様々な場所をチェックしたが、資料はどこにも見当たらず
私も、忘れていそうな場所を探したけど、あの大量の資料が隠れていそうなスペースはやっぱりなくて
オフィス内は騒つき、会社を出なければいけない時間が迫るコンペ班は、探しつつも途方に暮れていた
響「あれだけの量が、丸ごとごっそり無くなることってあるのかしら…」
首を傾げた響子ちゃんの一言に、私も疑問に思う
だって、昨日まではそこにしっかりあったのに…
そんな事を思っていると
デスクの上の携帯が光り、着信を知らせた
「え、」
画面を見ると、黒の画面を背景に
白字で『城ヶ崎梓』と書かれていて
彼女からの電話に驚きつつも、急いで通話ボタンを押し、耳へと持ち上げた
「はい、永瀬です」
梓『良かった、Aちゃん出てくれて…』
「どうかされたんですか?」
梓『あ、陸に電話したんだけど、電話中みたいで…急ぎの用ですぐに伝えたい事があるから、繋いだままオフィスから出られる?』
焦っているような梓さんの声に、ただごとじゃない何かを感じ、戸惑いながらも頷いた
陸さんに伝えた方がいいかと思ったけれど、そんな事を伝えている暇もないくらい、いそいそとオフィス内は資料探しをしている
「今出ます、どこにいますか?」
オフィスを静かに抜け出し、エレベーターの前でそう聞くと、梓さんは会社内に居ないと言う
梓『私今外に用があって出ちゃってるんだけど、さっき資料室で束になってる資料を見たの。
それって、もしかして陸達がコンペで配る資料なんじゃないかな?って思って』
身体がビビッと資料という言葉に反応した
束になってコピー機の近くに置いてある資料が、頭の中にすぐに思い浮かぶ
「それ、絶対陸さん達が使う資料です!!
私、取りに行きますね!!」
梓『本当!?ありがとう!
陸ったら、大事な時に電話通じないんだから…』
下へと向かう四角い矢印を連打して、梓さんとの通話にも終了ボタンを押した
「遅いな……もうっ!」
高層ビルであるが故に
なかなか辿り着いてくれないエレベーター
非常口のドアを開けて、18階から地下へと走る
大切な上司の頑張りを、絶対無駄にはしたくない
海「ん…Aちゃん?」
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りい(プロフ) - とても良かったです!!! (2021年10月11日 2時) (レス) @page50 id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 美憂さん» 読了、コメントありがとうございます!素敵だと言っていただけるいっちゃんが書けて良かったです(^^) (2021年3月15日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - 最高な作品でしたー。いっちゃん素敵! (2021年3月13日 22時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます!ぜひ読ませていただきます!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - まいぽんさん» 返事が遅くなってしまってすみません涙 今度また藤原樹君のお話を書かせて頂いた時には、まいぽんさんをもっと虜に出来る様に頑張りますね(^^) (2020年3月10日 18時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年1月7日 20時