67（樹side） ページ19
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樹side
寛「で？Aちゃんのこと避けてる訳だ」
ビールジョッキを冷蔵庫に入れ終わり、ガシャガシャと割った卵を手際良くかき混ぜる寛太君
樹「んまぁ…仕方なくない？」
寛「だからって俺に構うなってのはないだろ〜…。Aちゃん可哀想じゃんそんなの」
誰も居なくなった居酒屋で、カウンター席に座りながら、今までの出来事を話した
樹「Aはやっぱり青山陸が好きなんだよ。
俺に入る隙間なんて無かったし」
寛「ふーん？」
樹「初めから勝ち目のない戦いだったんだよ。青山陸の元に走って行くAの後ろ姿見て思った」
寛「へー…」
調味料を数種類入れながら、空気を入れてガシャガシャと卵をかき混ぜている
寛「お前さぁ…自分勝手だよね」
怒るでもなく、笑うでもなく、淡々と作業をこなす寛太君は、下を見ながらそう言った
寛「勝手に好きになってAちゃんの心に入り込んだのに、身を引いて彼女の前から居なくなろうとするなんてさ」
樹「まぁ、そうだけど…」
寛「Aはそんな簡単な女じゃない
って言ってたの誰だったっけ？」
チラ、とカウンター席のこちらを大きな目で見ると、じゅわ〜とフライパンに溶き卵を落とした
寛「Aちゃんの事、ずっと見てきたんでしょ？」
樹「…あぁ」
寛「好きな女の子の側に居るって、
そう決めたの樹じゃん」
コンロの火をカチッと消して、あっという間に目の前には大きなだし巻き卵が置かれた
樹「うまそ…」
寛「樹が思う通り、Aちゃんはそんなに簡単に、樹との関係無かった事には出来ないと思うよ」
確かにそうだ
そんなに簡単に、仲良くなれた事実を無かった事に出来るような器用な女じゃない
そんな事、痛い程分かってるけど、けどこうする事でしか、自分の事を守る術が無くて…
樹「分かってる…」
ジョッキに手をかけてビールを流し込むと、特有の苦味が喉の奥へと広がる
寛「…うまっ！さすが俺！！」
パクッと作っただし巻き卵を口に入れて、美味しそうな顔でニコリと笑った
自由だなぁと思わず笑うと、不意に表情豊かなAを思い出して切なくなった
寛「…まぁ、俺は事実を言ったまで」
そう言うと後片付けに戻った
何だかんだで、明日は大事なコンペの日を迎える＿
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りい(プロフ) - とても良かったです！！！ (2021年10月11日 2時) (
レス) @page50 id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 美憂さん» 読了、コメントありがとうございます！素敵だと言っていただけるいっちゃんが書けて良かったです(^^) (2021年3月15日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
美憂(プロフ) - 最高な作品でしたー。いっちゃん素敵！ (2021年3月13日 22時) (レス) id: 35846edb09 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - 蘭さん» ありがとうございます！ぜひ読ませていただきます！！ (2020年3月10日 23時) (レス) id: 0b1b1da15f (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - まいぽんさん» 返事が遅くなってしまってすみません涙 今度また藤原樹君のお話を書かせて頂いた時には、まいぽんさんをもっと虜に出来る様に頑張りますね(^^) (2020年3月10日 18時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭
| 作成日時：2019年1月7日 20時
