episode 21 ：襲撃 ページ23
招集された私はマスターから特異点のこと､私の霊基のことを聞いた。にわかに信じがたいがそれが本当なら今まで私に起きてきた事も説明がつく。
｢俺はオロチにも来て欲しいと思う｡けど無理強いはしない｡行くかはオロチが決めて｣
｢…いいえ､私も行きます｡仮にもあれは私が守った場所｡また守ってみせます｣
随分人間らしい事を言うものだ｡放った言葉達がこの場所が私にもたらした変化を物語っている｡
｢ありがとう｡よし､行こう!｣
マスターの言葉を合図にレイシフトのアナウンスが流れた｡
今回の編成は私､マシュ､騎士王､赤の弓兵､青の槍兵｡彼らは何度か聖杯戦争で都市の戦闘を経験しているらしい｡
問題の特異点に着くと異変がないか辺りを見渡す｡が､周辺には特に変わった様子はなく､誰しもが見たことのあるような人通りの多い景色が広がっていた｡
“あーあー､皆聞こえるかい?”
｢はい､問題ありません｣
“通信は問題なしっと｡周りの状況はどうだい?”
｢特に目立った様子はないな｣
“特異点が確立しかけている証拠だね｡何にせよ用心するようにね”
その後私たちは目立たないよう路地裏を通っていった｡
辺りは夕暮れ時｡日も落ちかけているせいで薄暗い路地裏がより一層暗く感じる｡
｢この格好では目立ちますね｡先輩､早急に霊脈を見つけてポイントを作ってしまいましょう｣
｢そうしたいけど､他と違って都市部だからな…｣
｢当事者の片割れがここにいるのだからオロチの縁の地に行ってみたらどうだ｣
弓兵に横目で話を振られる｡縁の地…というと､一番はあそこか｡
｢何ヶ所かありますが､ここからなら国家保安部の基地が近いです｡案内します｣
私を先頭に歩きだそうとすると辺りからカタカタと絡繰りのような音がした｡
｢…どうやら､囲まれたようです｣
全員が戦闘態勢に入る｡誰かが地面の石を足でつついた瞬間､全方向からマネキンのようなものが襲ってきた｡
｢随分と手荒な出迎えだな｡だが､肩慣らしには丁度いい!｣
｢一応ここ市街地だから!あまり派手なことしないでね!｣
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作者名：巳月 要 | 作成日時：2017年12月25日 22時
