episode 18:欠けたもの ページ20
止血も済んだがなかなかの大事になってしまったのでその日はお開きとなった。
その翌日、痛みはほぼなく、特に異変もないのでレイシフトに参加した。
帰還後マスターに頼まれ整理した書類を運んでいると後ろからロビンフッドが声をかけてきた。
「アンタ、足元かなんかで出んぞ」
何かとは何だろうか。下を見てみると、私の影が蠢きそこから小さな蛇が何匹か這い出てきていた。
「あれ、何で出てきてるの君たち。ほら戻った戻った」
その後も蛇たちは決まってわたしがぼーっとしている時に現れたが、特に巨大化することも無く私が促すとすぐ私の影に戻っていった。
それが数日続き、周りからも休めだのなんだの言われるが、私情で何度も休んではいられないと私は普段通り過ごしていた。
しかしある日、それは無視出来ないものとなった。
毎度のようにぼーっとしていると、まるで体の核が吸い上げられていくような感触に襲われた。すぐ我に返ったが吸い上げられたものが返ってくる感じはなかった。
他のキャスタークラスのサーヴァントに診てもらったがなんの異常もなかった。
「ただ凄く魔力を消費しているわ。何をしたかは知らないけど、今日はもう休むことね」
「はい…貴女の言う通りです、王女メディア。今日は休ませていただきます」
とぼとぼと自室への道を行く。自分の身に何が起きたのか、欠けたものは何処へいったのか、不安で仕方ない。
…はて、私はいつからこんな感情を抱くようになった?
喜、楽、不安など、ここで私は生前知らなかった感情を沢山知った。
もしかするとそれがこの異変に繋がっているのかもしれない。
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作者名:巳月 要 | 作成日時:2017年12月25日 22時