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重岡side
Aがおかしい。自覚なしの体調不良かもしらんと思っていたからよく見すぎたのかもしれへん。せやけどふらつくし、顔色悪いし。あと少しで撮影は終わると思うんやけど、明日もMV撮影やから、巻いてあげたいな。
次はAがメインのシーンなんやけど、大丈夫かな。
それは俺が倒れてしまってAが階段を駆け下りて人を呼びに行き、階段を降ったら過呼吸になってしまう難しいシーン。Aは階段を駆け下りては登って駆け下りては登ってまた駆け下りる。撮影やから、何カットも撮らなあかんのはしゃあないけど、辛そうやわ。次が最後のカット。
監「はい、本番！よーい！」
ｶﾁｬ
『誰か…！誰かいませんか！はぁ、はぁ、っ！』
監「はい、おっけー」
監督からOKがかかる。俺も下で見守っていた。スタッフが水を渡しに行くと
ス「Aさん、？大丈夫ですか？」
監「Aちゃん？大丈夫？」
嫌な予感がした。俺の予感は見事に的中してしまったのだ。
「はぁ、っ、はぅ、」
演技だった過呼吸が本物の過呼吸に変わってしまって上手く息が出来ていなかった。
重「A！」
「ぁ、ふっ、」
重「A、俺に合わせてゆっくり息しろよ、」
Aが俺にもたれて頑張って息をしようとする。抱きしめた体は小さかった。怖くて怖くてたまらなかった。
重「A、！ゆっくりやで、ゆっくりでええからな」
なのに、全然息が整わない。なんで。
10分ほど経っただろうか。
「ふぅ、はあ、」
やっと元通りになれた。そんなAを抱き抱えて近くにあった長椅子に腰をかける。Aは俺の膝枕で寝ている。
「ごめん、しげ、」
重「お前さ、体調悪いやろ」
「ううん、大丈夫」
重「じゃあ、なんで、過呼吸なった？」
「それは…」
答えられないAをそっと撫でる。
「ごめんなさい、」
重「Aが謝ることじゃない。忙しかったもんな、うん」
「ちゃんと体調管理しなあかんのに」
重「大丈夫やから、今は休みな？」
時計を見ると20時を過ぎていた。
監「Aちゃん大丈夫そう、？」
重「この調子だと、ちょっと…」
監「続きは今度にしようか、まだ余裕ありそうだし」
重「すみません」
「すみません、」
もう、あがらせてもらうことに。
楽屋へ戻ろうと立ち上がるAはフラフラしていて、途中柱にもたれかかってしまう。
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作者名：いと | 作成日時：2023年9月7日 13時
