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桐「A、」
『ん?』
桐「大丈夫?…なわけないか、」
車に入って頭の中を整理させる。
『貧血って、言うても、元々そうやと思ってたけど、さぁ。なんか、うん、』
女の子の日の症状が重いのは俺らも知っていた。顔色が悪いのはそれのせいもあると思う。
『そんな悪いんかな、』
忙しくなったせいでそれが毎日に響いている。
『精神科、か、』
桐「………まだ、さ、決まったわけちゃうやろ、?」
何も言えない俺はAの不安すらも庇うことが出来ない。
『どうしよっかなー』
しばらく静寂が続いた。
桐「A、」
『何?』
桐「今から行ける?」
『今…』
桐「早めに知っといた方がええかなって、」
『私もそう思うけど、』
桐「うん」
『怖い、』
小さく呟いたその言葉に俺は気付かされた。1番怖くて不安に苛まれているのはAなんやと。
桐「そっか、今度にする?」
『でも、スケジュールが』
桐「今週学校終わりにでも」
『うん、』
桐「仕事しんどかったら連絡ちょうだい。体休めることも仕事やで、」
『…ありがと、』
Aのことをもっともっと守らなあかん。守りきれていなかった。後悔の念が押し寄せる。でも、
桐「じゃあ、帰ろっか」
これからを守りきることが俺らの使命なのに、不安に駆られるのを必死に拭うことしかできない俺は無能だ。
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作者名:いと | 作成日時:2023年9月7日 13時