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桐「何がいい？」
『もちろん、うどん！』
桐「ほんまに？そんなんでいいん？」
『うん、食べたい』
昔よくこうやって作ってあげてたっけ。懐かしい気持ちが蘇ってキッチンへと向かった。
桐「A、今のうち寝とき？」
『大丈夫やで、照史の料理見たい』
なんてキッチン覗いてくる。でも今日は、
桐「いいから、寝とかんと。今週末ライブやで？体力温存させといて」
『はーい』
口を尖らせ拗ねながらもちゃんと従ってくれた。まあ、俺の特製うどんなんてすぐに出来てまうんやけどな。
桐「Aー、出来たでー」
ソファでしっかり寝息を立てて寝ている。寝るの早いな。やっぱり疲れが溜まってんねんな。寝かせてあげたいけど、うどんが伸びてまうから優しく起こした。
『ん、おいひい、』
桐「うん、良かった」
眠くて目が冴えない中、ゆっくりとうどんを啜っているところは、昔のあの光景によく似ていた。
『懐かしい味がする』
桐「ほんま？」
『うん。照史の味』
こんな妹を守りたいと強く、今強く思ったのはこの儚い笑顔のせいだろうか。
時計の音が響く中ズルズルと麺を啜る音が不定期に反響する。
『ごめん、照史』
桐「ん？」
『もう、おなかいっぱい、』
桐「ああ、ほんまぁ。分かった。あと一口食べへん？」
『もう無理っ、』
桐「ん、分かった。そこで寝とき？まだ眠そう」
『ごめんね。ごちそうさまでした』
食欲無いのは昨日から何となくわかってたから少なめにしたはずやねんけど、あまり食べてくれへんかった。よく見ればさっきより顔色悪そう。俺は音を立てないようにうどんを啜った。
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作者名：いと | 作成日時：2023年9月7日 13時
