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桐山side
昨日はいつものMV撮影より身体的にも精神的にもキツい撮影やった。みんなでフォローし合いながら、Aにはちょこちょこ休んで貰いながらの撮影。早く終わらせるというより要領良く、Aの身体重視。休憩の時は割と寝ててくれてほんまに良かった。
桐「A、迎えに来たで」
『照史！』
ドアを開けるといきなり抱きついてくるから思わず頭をぽんぽんと撫でてあげる。ほんま可愛いわ。
マ「桐山さん、よろしくお願いします」
マネージャーは仕事やから俺がちゃんと役目を果たさなあかん。
桐「じゃあ、行こか」
『うん、』
マネージャーに見守られながら俺の車に乗り込む。
『じゃあ、またね、△△さん！』
マ「頑張ってね」
この頑張ってね、は何のことを示しているのだろう。
桐「じゃあ、行ってきます」
別れを告げてエンジンをかけた。
『照史の家連れてってくれるん？』
桐「まだ時間あるしな、俺ん家でゆっくりし？」
『照史の家行くの初めてやわ〜』
なんてテンション高い。心の奥底では多分凄く怖くて仕方ないのを隠してるんやと思うと胸が苦しい。
関西に住んでた頃はよく家に遊びに来てくれていたけど、こっちに来てからは初めてやし、Aももう大人やし、少しドキドキした。
『お邪魔します！』
桐「どうぞどうぞ、入って」
昨日急いで片付けたのはバレてないわ。
『これ、作ったやつ？』
『あ！こっちの見たことある！』
俺の部屋を嗅ぎ回って落ち着きがない。
桐「ほら、もう。ゆっくりする約束やろ？」
『ええやん、ゆっくりしとる』
『私も今度こういうの作ってみたい！でぃーあい、？』
桐「DIY？」
『そう、それそれ！』
桐「休み出来たらまたやろうな」
さっきからずっとハイテンションなAを座らせてお茶でも出す。
桐「A、」
『照史、そういう雰囲気、やめて？』
桐「なんで？」
『……嫌やから、』
『ちょっとでも忘れさせて』
その真剣な眼差しが俺の心を貫いた。次にはマグカップを口につけ、熱いと笑い出す。Aの背負う重い荷物を俺は少しでも下ろしてあげたい一心で隣で苦笑いをした。
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作者名：いと | 作成日時：2023年9月7日 13時
