□ sigh ページ8
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目が覚めて、徐々に理解する。
目に映るのは、学生の頃何度かお世話になった天井。
あぁ、嫌だ。
私はどうして、決めたことすらこなせない。
「おや、起きたのかい」
『……ばあさん、今は何時ですか』
「ちょうど夜の8時を回ったとこだよ」
私がミッドナイトさんと会話をしたのは多分、9時前だったと思う。
そうなれば、約11時間の睡眠。
無理して出勤したのにこうも長く爆睡してしまったとなると、ため息が止まらない。
「しつこいのが2人いたから、話したよ」
『何を？』
「あんたの見えない方の個性の話」
『あぁ……それはどうも』
父の個性は私と同じく、どこであっても銃を取り出せるものだった。
ただ私よりも優れていて、百発百中。
そして母は、体内で毒を作り出し、体外に排出することができるものだった。
話す必要がなかったから誰にも話していなかったが、私もその個性を受け継いでいた。
毒の個性に気付いたのは遅かったし、個性届を出したのは兄だったから、両親すらも知らない。
まあ、私の場合は、体内に止まってしまうのだけど。
今回の事件では、それを利用して何とか解毒に成功したというだけだ。
「もう少し寝ていきな」
『……寝れないですよ、もう』
目を閉じると思い出すのは昔のことばかりだった。
記憶の中の両親は、いつもギャンブルばかり。
私の面倒を見てくれていたのは、10コ上の兄だった。
兄は個性に恵まれなかった。
彼は高校を卒業後、九州の地元に就職し、私が中学2年の頃に関東に転勤。
私はお金が欲しいという下衆な考えでヒーローを目指し、雄英に進学、兄の家から高校に通った。
その後、兄の東北への転勤、私の就職を機に私たちは離れた。
九州にあるヒーロー事務所に就職したのは何も、故郷だからではない。
ただ地元だと何かと融通がきくかもとインターン先を選び、その流れで声をかけてもらっただけだ。
ヒーロー学校をクビになってから雄英に来たのは、波浪していた私を根津校長が拾ってくれたからだ。
それがなければ今頃どうなっていたか、怖くも思う。
ヒーローになれたこと、学校の先生になれたこと。
それに関しては幸運だったと思える。
ただ、自分の人生が決して誇れるものではなくて、嫌な思い出が多いから、うんざりしている。
忘れたくてもどこまでもついてくるから、嫌なのだ。
寂しいのかもしれない。
そんな馬鹿げたことを思って、またため息をついた。
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ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
