■ impatience ページ6
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夜、人通りのほとんどない道を進む。
となりのAは呑気にあくびをしていた。
「どうだった？ 今日の訓練は」
『それなり、だな。まあでも対人戦闘ってのは慣れもあるから』
結局、あのまま全員が脱落し、誰も条件を達成できなかった。
余った時間で同じことを2回繰り返したが、それも同じ結果。
本当に、今でも名を聞くヒーローなのだと思い知らされる。
『で、どこ行くんだよ』
「山田のおつかい」
『はぁ？ 自分で行けよなぁ』
「気晴らしにもなるだろ」
授業で使う物の準備を忘れていたと言われたのは数十分前。
それなのに小テストも作り忘れたというのだから、頭が痛くなる。
彼女を連れ出したのは、言葉どおり気晴らしだ。
本人は、文句が止まらないようだが。
人がいなければ、当たり前のように音も少ない。
だからだろう。
だから、Aの声が大きく聞こえた。
『伏せろ！！』
その声の後、空気を切る何かを辛うじて目視した。
近場にいる男性2人を庇い、Aが宙に手をかざし、数にして5挺の銃が浮かび上がる。
そこから放たれた銃弾が、どこからともなく飛んでくる銃弾の軌道を逸らす。
「……大丈夫か」
『腕に当たっただけ。大丈夫』
攻撃が止み、立ち上がる。
一発目はAの腕を撃ち抜いていた。
彼女は表情一つ変えず、応急処置にはしる。
庇った市民には、隠れるように告げた。
目を凝らして、攻撃の先を見る。
場所を把握されて逃げたのか、はたまたその時を狙って未だに潜んでいるのか。
今すぐ向かうべきか、この場にとどまるべきか。
最善を見つけ出すために、最速で思考をする。
結論として敵を追うとし、振り向く。
「おい、どうした……」
『……ゲホ』
「A！」
吐血。
地面に手をつく彼女に、決して軽んじてはいけない事態だと現実を突きつけられる。
腕を撃たれたくらいで、こんなことにはならない。
ならば一体何が起こったのか。
それを聞こうにも、会話ができる状態でもない。
乱れ出す呼吸に不安を煽られる。
これほどまでに弱ったところを見たことがないから、冷静さを欠かれる。
救急車を呼ぶ自分の指すらも、震えているように感じた。
「A！ しっかりしろ！！」
『……き、こえて、る』
途切れ途切れの言葉を聞く。
それなりに長くヒーローをやっていて、自分はまだこんなにも焦ることがあるのだと、今更感じた。
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ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
