■ ability ページ5
.
「今日の個性使用訓練は相澤先生ですか？」
「いや、今日はこいつだ」
「マジ！？ A先生じゃん！」
『はい、よろしく』
ひらひらと手を振り、軽めの挨拶をかますAに小さくため息をつく。
場所は体育館γ。
多少暴れても、というと語弊があるかもしれないが、ここならある程度までは大丈夫だろうと思う。
今日は、対敵を想定した戦闘訓練。
Aが敵役で、生徒20人がヒーロー。
まとめて相手をするというから、それを承諾した。
「Aの個性は、まあ……手を出せば銃が出てくるってやつだ」
「召喚、みたいな感じでしたよね！」
『そうね』
若干説明が雑になったが、八百万のように身体で作り出しているわけでもないからこんなものだろうと思う。
それに彼女が出せるのはライフルと弾のみ。
決してそれだけで強いと言える個性ではない。
ハンデは数多く使えるライフルから2挺のみを使用。
腰に巻かれたリボンの奪取が合格条件で、ペイント弾で撃たれた時点で脱落。
撃たれれば終わり、何の捻りもない訓練だった。
『私が女だからといって容赦はしないこと。こっちも手加減はするけど容赦はしない』
「気を抜いたら死ぬと思えよ」
「はい！」
カウントを開始し、体育館の端に寄る。
まずやることは銃弾を防ぐ壁を作ることだろう。
Aもそれはわかっているはずなのに、何も考えていない様子で銃を回していた。
そういう余裕も、昔から変わらないと思う。
訓練が始まり数分後、半数が脱落。
もう半数も身動きが取れない状況が続いていた。
そんな中、飛び出したのは予想のつく通り、緑谷と爆豪。
スピードで距離を詰め、Aの手に持つ銃を掴む。
「掴んじまえばこっちのもんだろ！」
『……へぇ、悪くはない』
瞬時に繰り出されたのは、蹴りだった。
唯一許された2挺の銃を捨てた、Aの。
「はぁ……そんな簡単に行くわけないだろ」
思い出すのは学生の頃。
お互い、強化型の個性ではなかった。
Aはただ銃を取り出せるだけで、それ以上何もない。
どこでもそれが手に入る世の中なら、ほとんど無個性と同じだった。
だからこそ彼女は銃の技術と共に、身一つで戦う術を身につけた。
俺が操縛布を使うのと同じく、単純に体を鍛えたのだ。
『こんなでも一応プロなんだ。自分の弱点を知らないわけがないだろ』
雄英をトップクラスで卒業しただけあって。
こいつには隙がないな、とまた思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
