▽ today ページ36
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「なーあ、結婚すんなら先に俺に言えよォ」
『言っただろ、することにしたって』
「そうじゃなくて、相談とかされたかったわけよ、俺としては」
学校の屋上。
学生のように紙パックの飲み物を飲んでいるAが首を傾げる。
伝わらないな、と山田が苦笑していた。
「それにしても、何で容認できた？」
『なんだ、付き合いを飛ばして結婚しようって言わせたのはお前だったんじゃないの？』
「いや、まあ、それはそうだけど」
元より覇気のない目が尚更ジト目地味になって、山田を見つめる。
ズズズ、とありもしない飲み物を啜る音が聞こえた。
『……そうだな、あれだよ』
「あれ？」
『まあ、思ってた以上に惚れてたんだよ、私がね』
「カーーーッ、言われてみてぇ！！」
ふふふ、とAが笑うから、それを見た彼も笑っていた。
笑ったところを見たのは初めてだという気持ちは胸の奥にしまって。
「後悔した？ ヒーローになったこと」
『……多少ね。でも今はそんなこと思ってない』
それに、と付け足された後を待つ。
『ヒーローを目指さなかったら、お前にも消太にも出会うことはなかったから』
「……Aもそういう柄にもないこと言うのね」
『は？ 感謝を伝えようと思ったけどやめるわ』
ワーワーと騒いでいると、扉が開く。
屋上に足を入れたのは、いつも変わらない黒尽くめの彼だった。
「何騒いでんだよ」
「消太くんが学生の頃からAにぞっこんだったって話」
「やめろよ、それ……」
『余計な話しかしないな』
いつ、こんな未来がくると予測できただろう。
ずっと何もかも諦めていたA。
そんな彼女が新しいものを手にする日が。
『消太と結婚したけど、山田とも死ぬまで付き合っていくよ』
「お前が結婚する時は先に言えよ」
『それよ、頼むぞ』
「お前ら本気で言ってんなら引くんだけど」
『そうか……じゃあここらでお別れだな』
「そこじゃねーよ！」
確かに相澤とAは結婚したけれど。
彼ら3人の関係はこれからも変わらないのだと思う。
だって彼らは、学生の頃に同じ悲しみを乗り越え、大人になった今も支え合っているのだから。
ヒーローは英雄だけど、辛いことだって多い。
この先もきっと、何かが待っている。
だけど。
『……いい日。今日も、すごく』
「ああ」
「そうだな」
彼らはヒーローとして、多くの人を救っていくのだろう。
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ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
