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その日の天気は、快晴だった。
眩しすぎる太陽が、今日は何かの記念日だと言わんばかりにヒーローを照らす。
隣でAが、深呼吸をしていた。
「……大丈夫か？」
『あたりまえだろ』
「まあ、そうだな……愚問だった」
悩まずに返ってきた答えに、相槌を打つ。
作戦当日。
彼女が大丈夫でないわけにはいかない。
「なぁ、バレット。今日であんたが立場を失ったら、俺の事務所で雇ってやるよ」
『君ねぇ、縁起でもないこと言うなよ』
「仮にでしょ、仮に」
『私は失敗する未来は見てない』
4日前、先陣を切ってAに突っかかった彼。
彼は多分、彼女に憧れたことがあったのだと思う。
だからこそ、あの時自分を失望させた憧れが許せなかったのだと思う。
「死ぬなよ、あんたも」
『あぁ。死ねない理由もできた。だから生きて、勝つよ』
「……へぇ、まさか結婚するとか？」
『バッカ、言ってろ』
茶番にも似た会話を終えて、Aが一歩前に出る。
正直身に覚えがありすぎる話が聞こえてドキリとしたのが本心だが、ここはあえて触れないことにする。
時はもう直ぐ予定時刻。
緊張というより集中を高めなければならなかった。
『こちら西軍。各々方、準備の方はいかがでしょう』
小型通信機から、それぞれの場所のまとめ役からの声が聞こえる。
完了という言葉に、わずかに心臓が跳ねる。
こんなもの、何度経験しても慣れるはずがない。
『では予定を3分繰り上げて作戦を決行いたします』
了解、と返事が聞こえた。
その中で東側にいる山田の声も聞こえた気がした。
Aが耳元の通信機に、手を伸ばす。
その手が、震えていた。
彼女の望みはなんだろう、と思う。
今日をうまく乗り切れば、もう傷つくことはないだろう。
だが、本当は今日を望んでいなかったのではないだろうか。
両親と対峙するこの日が来て欲しくなかったのではないだろうか。
肩に手を置くと、Aが手を握り返す。
横顔があまりにも真剣だったから、また馬鹿げたことを考えたと少し反省する。
彼女が自分の気持ちに決着をつけずにここにいるはずがなかった。
例え望んでいなかったとしても、結論は既に出ている。
『カウントを開始します。……10、9、8』
零を数え、全員が動き出す。
もう、止まる必要はなかった。
『……御武運を』
その呟きは誰にも聞こえなかったと思う。
それでも祈るようなそれは、彼女の本心を示し、ただ全員の無事を祈っていた。
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ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
