■ crunch ページ27
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「……悪かった。あんたはいつも釈明しようとしないから少し疑った」
『いい。君が3ヶ月前にサイドキックの一人を亡くしたことを知っていた。仲間のためにも不安を取り除きたかったんだろう』
「何だ、知ってたのか」
『ああ、まあね』
理由があって、釈明できなかった。
学校側も本人も、詳しいことは話せなかった。
もちろんそれが、よりAへの不満をもたらしていることはわかっていた。
だがどうすることもできなかったのだ。
何もせず、何の情報も与えないことこそが、得策だったのだ。
『一つだけ、いいかな』
「あぁ」
『私はヒーローの殉職を美談にしたくないと言った。だが君のサイドキックだった彼は、正義感の強い君に似た、立派なヒーローだったと思うよ』
立派な戦死を遂げられた。
そんな言葉を使うことがある。
Aが否定したいのは、これのことだろう。
ヒーローとして最期を迎えることは、立派なことかもしれない。
それでも死んでしまったら何もなくなってしまうから、彼女はそれが嫌いなのだろう。
きっと帰りを待つ人がいるから。
「……バレット。そろそろ」
『ええ』
会議の開始時間が迫っていた。
警察本部で行われるため、時間を取り締まるのも警察。
Aを含め、未だ席を立っている人間に声がかかる。
『……ああ、あと。先に謝罪もしとく』
「え？」
『損な役回りをさせてしまって悪かった』
カツリ、と音を立てて歩き出したAを、誰もが見ている。
その視線を意にも返さず、彼女は自分の進む先だけを見ている。
まさか、と皆が思っただろう。
一旦落ち着いて、考えてみればわかる話だった。
この作戦に参加する理由と、その役割を。
彼女にはしなければならないことがある。
『お忙しい中、足を運んでいただいたこと、感謝申し上げます』
予想していなかった事態。
俺と山田の間の椅子の前に立つAを見上げる。
その真剣な表情とは裏腹に、山田が少し笑っていた。
『本会議の進行及び、本作戦の総指揮を執らさせて頂きます。バレット・ガン……いえ、弾原Aです』
副担任になったときは名乗らなかった苗字。
ヒーロー名でもいいこの場、その名を名乗ったのは覚悟の表れだろう。
全てをさらけ出し、隠すことをやめた。
逆にいえば、ここにいるプロを信用しての行動かもしれない。
ここからがまた正念場。
まだ始まったばかりのAの戦いに、少しでも力を貸せればと思った。
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ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
