□ curse ページ23
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泣きたい、喚きたい、逃げたい。
そんな馬鹿げた考えも、私の中に僅かながらもある。
それでも今こうして何とか生きているのは、責任があるからだと思う。
私に何もなかったら、ヒーローなんてやめて、どこか遠くへ逃げたかもしれない。
そもそもヒーローでなければ、ただ可哀想なだけの人間だったかもしれない。
校長は、絶対に私を解雇しないだろう。
それがあの人の優しさで、それこそが多分正しいやり方なのはわかっている。
私を守るためにそうしてくれるのだと、知っている。
でもだからこそ、この学校に迷惑をかけながら、何もすることができない。
黙っていることだけが、すべきことだった。
不甲斐なくて、どうしようもない。
「A先生」
『……心操』
すれ違い、声をかけられて振り返る。
ヒーローに憧れるその姿を、目に焼き付ける。
『どうした？』
「いえ、その……疲れているように見えたので」
そう言われて、ハッとした。
自分が目に見えて弱っていることに、動揺した。
私情を仕事に挟んでいる、知らぬ間に。
雄英の全ての人に迷惑をかけているのに、私が折れかけている。
その事実を突きつけられて、情けなくなった。
「俺、先生のこと全然知らないですけど……」
『……』
「信じてます。俺だけじゃなくて、他の奴らも」
私は世間に疑われている。
お前が殺したのではないかと叩かれている。
それでも私には、やっていないという事実があった。
だから何を言われても、大丈夫だった。
でも、本当は、ずっと痛かったのかもしれない。
雄英の教師たちは、私を信じてくれる。
関わりの多いヒーロー科の子たちも、私を受け入れてくれる。
だったら他の科の子たちはどうだろうと、思ったこともなくはない。
不安だったのだ、唯一の居場所すらもなくなってしまうのではないかと。
「先生？」
『……』
両親が、何故敵になったのかがわからない。
何故、相澤と山田が側にいてくれるのかわからない。
何故、心操が信じてくれるのかわからない。
私には、何もわからなかった。
だけど、私を批判する人がいる中で、信じてくれている人もいることだけは、忘れてはならないのだと思う。
『……ありがとう、心操』
私はずっと、逃げられない。
両親というなの呪いは、解けることがない。
それでも多分、大丈夫だろう。
きっと、絶対に。
こんな歳になって泣いてしまいそうになった私を、俯瞰する自分が苦笑している。
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ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
