■ trouble ページ3
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居酒屋なのが、何とも俺ららしいと思う。
Aの歓迎会という名の食事会。
参加者は言わずもがな3人しかいないのだが。
「で、クビになったって話聞かせろって」
『は？ 嫌だよ、ご飯不味くなる』
「俺の奢りなんだからいいだろうよォ」
『押し付けがましいぞ、山田』
いきなり核心をつきすぎではないかと思わなくもない。
だが、遠慮が不要なのは昔から変わらなかった。
学生の頃はそれなりにいい関係を築けていたと思う。
「何ヶ月前？ クビになったの」
『……はぁ、2ヶ月前』
「それからこっちに戻ってきたんね」
『そうだよ、用があって』
「で、理由は！！」
『しつこい、うるさい』
一応仕切られた部屋に、山田の声が反響する。
Aは一向に隙を見せなかった。
それでも、隠せば隠すほど原因は露見していく。
本人もそれには気付いているだろう。
「……親か」
『まぁ……そうだな』
「どうせバレるんだから言っちまえばいいじゃんよ」
『お前こそ、わかってんなら探り入れるなよ』
深く息を吐く音が聞こえた。
こいつはいつも、ため息をついてばかりだった。
Aの両親は、生粋のギャンブラーだと聞いた。
そしてそのせいで家計がうまく回っていないことも知っている。
お金が必要だからヒーローになりたいと、学生の頃から言っていた。
それは多分、今も変わっていないのだと思う。
『両親のよくない噂が流れ出して、それでクビにされた』
「どこまでもついて回るのな、お前のそういうの」
「変わらないな」
『そうね。でも学校の対応は妥当だろうな』
親の悪い噂が付き纏うのは、ヒーローであるが故だろう。
ヒーローは絶対に救う側でなければならない。
世間の中で絶対に、正しい存在でなければならない。
だからこそ、小さな良くないものも大きく見える。
ヒーローの質が学校の質に直結する教育の場では、早いうちに対処するのが妥当。
噂が広まる前に弾いた方が、品を保てる。
『あとはちょうど会った根津校長に拾ってもらったって話』
「……苦労人、ね」
『おい、聞いといてテンション下げるなよ』
「まぁ……酒でも飲めよ」
『酔わしてどうにかしようとするな』
と言いつつも、飲みまくっていた。
全く酔っていないようにも見えるが。
だんだんやばそうなのは山田の方だろう。
「そういや、A。お前、クマひでーよ！」
『お前……ホントに、はぁ』
話がどうにもまとまらない。
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ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
