■ consent ページ20
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頭を下げる、Aの姿が視界に入っていた。
悪いことなど、何もないのに。
『校長……本当に申し訳ありません』
「大丈夫だよ。君は何もしていないだろう？」
『いえ、私は……』
再会した時点でAに疑いはかけられていた。
それでも彼女が自由に過ごせていたのは根津校長の計らいだった。
今回も、警察と校長の間で取引があったらしい。
謝らなくてはならないことばかりだ、とAは言う。
「校外に出るときは付き添いが必要？」
『そう。まぁ、監視が必要なんだ、やっぱり』
「そんなら付き合ってやるよ、いつでも」
『……そうね。本当に必要なときは頼むわ』
彼女自身は何もしていないのに、日々自由が奪われていく。
その事実に、納得がいかなかった。
ただ外を歩くことでさえ、許されない。
いつかはそう、本当に何もなくなってしまうのではないかと不安になる。
Aには焦りも不安も、恐怖もあるだろう。
それなのに、助けを求めたりしない。
どうにもならないと分かっていても、何も言わない彼女に自分の心が痛くなる。
『相澤？ 聞いてっか？』
「……あぁ、いや、何だ？」
『その仕事、別に今日じゃなくても良いだろ。帰らないのかって』
「まぁ、そうだけど……」
山田とAの話は全く聞いていなかった。
だから話の流れはわからない。
だが山田が話を広げなかったことだけを理解した。
これ以上話したところで、彼女を傷付けるだけ。
かと言ってすぐに切り替えられるほど、冷静ではいないのだけど。
「今日は、帰らないことにした」
「お、じゃあ俺も帰らない」
『は？ 何で。明日だって普通に平日だぞ』
もうすぐ時計は12を回る。
つまり日付が変わるところだ。
明日は平日で、授業だってある。
それでも俺たちは帰らないと言う選択をした。
山田もきっと、同じ気持ちなのだろう。
「いるよ、側に」
Aの方は見なかった。
一体、どんな表情をしているのだろう。
いつも通り変わらない顔をしているのだろうか。
それともさっきのように、泣きそうな顔をしているのだろうか。
どちらにせよ、この決断は変わらない。
「まぁ、お前が一人になりたいって言うなら帰るけど」
『……やだなぁ、お前ら、本当に』
その声が、少しだけ震えていたと思う。
知ってるさ。
ずっと、不安なことを。
『……一人はもう、十分なんだ』
そうだな、と返す。
ここで強くある必要などないと、ただ思う。
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ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
