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指定された場所の近くに車を止め、降りる。
ビルに囲まれたその場所は、既に規制線が張られていた。
「バレット、中で警部がお待ちです」
『ええ、わかりました。イレイザーとマイクは私の連れですので入っても？』
「構いません」
Aの後ろを付いて歩き、明らかに現場だと思われる場所に着く。
ブルーシートの意味は、言わずともわかるだろう。
その場所は、まだ何も手をつけられていなかった。
大凡、言っていた通りの現場検証に全ての情報が必要だったのだと思う。
『警部、遅くなりました』
「あぁ、バレット……と、イレイザーヘッドとプレゼント・マイク？」
『二人のことはお気になさらず、と言いたいところでしたが、駄目でしたか？』
「いや、問題はない」
部外者の俺らだけでなく、Aにも事件に関しての説明はほとんどなかった。
ただあったのは、3人のヒーローが狙撃により殺害されたということ。
たったそれだけの情報提供。
だがそれだけで、珍しくAが動揺した。
僅かに、ほとんど分からないほどに。
小さく、深呼吸をする音が聞こえた。
その息が震えていたから、彼女を連れて逃げてしまいたくなる。
そんなこと、できないと知っているのに。
「遠距離狙撃なら君に訊けば確かだろう」
『……そうですね。私でお役に立てるならば』
撃たれたヒーローの倒れ方の話を聞き、狙撃場所を予測する。
方向さえわかれば、Aにとってそんな予測は容易いもの。
彼女が優秀なのは何も、実力だけではない。
頭が切れるのだってそう、いつだって冷静なのもそう。
言葉にすることはいつも理屈が通っていて正しい。
それが、バレット・ガンであるAだった。
『方向としては北西で間違い無いでしょう。ただ、距離としてはそうですね……』
「わからんのか？」
『まぁ、警部が思っている敵が犯人ならば予測しても意味がないと思いませんか』
「……」
弱みを見せない弾原Aの姿が、そのままヒーローのバレットとなった。
だからこそ、彼女は強くあらなければならなくなった。
本当は、誰よりも傷ついているのに。
検証が終わり、この場を離れる許可が下りる。
何かを得ることができたのかは、俺の知るところではない。
「ああ、そうだ。ひとつ訊き忘れていたよ」
『何でしょう』
隣に立つ彼女の、ため息が聞こえた。
きっともう、同じようなことを何度も繰り返している。
Aはもう、何度も同じ目に合っている。
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ぽん、(プロフ) - Ableさん» ありがとうございます！一気に更新してしまったのですが、思い入れがある話だったので嬉しいです！ (2020年8月18日 18時) (
レス) id: 97d132fcbf (このIDを非表示/違反報告)
Able(プロフ) - 完結おめでとうございます！一気読みしてしまいました。綺麗事だけではない話でとても切実で、読んでいて感動しました。二人の幸せを願うばかりです。面白い小説をありがとうございました！ (2020年8月18日 11時) (レス) id: cf9458e2c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん、 | 作成日時：2020年6月13日 0時
