この恋、もしかして遅延しますか？ (ページ4)

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知念に事情聴取という名の拒絶をされた次の日

昨日はバスにいなくて不安になっていたけど
今日はいつも通り二人席に座って、また携帯をいじっている

…あ、今日は髪の毛に少しウェーブがかかってる、

かわいい。

「おはようございます、」

「え、あ、おはよ…！…………」

「…？なんかありました？」

俺の顔をじーっと見つめて不思議そうな顔をする彼。

…そういえば、俺この人の名前知らないや。

「……いや、君綺麗な顔してるなって」

「っ…は？」

「俺、その、人見知りで…今まであんまり顔見ずに話してたから…」

「…あ、あぁ、ありがとうございます、？」

朝の挨拶の後の第一声が綺麗な顔だねって
この人の破壊力は凄まじい

危うく膝に乗せたスクールバッグを落としかけた

「あ、ごめん！気持ち悪いかこんなの」

「いや、…嬉しいです、ありがとうございます」

「…ふふ、良かった、」

顔が綺麗という言葉が世間的に気持ち悪いなら、

その言葉を心の中で何度も唱えている俺は
もっともっと気持ち悪い

でも仕方ないよ、可愛いんだもん、顔

「あ、そうだ…あの、」

「あ、やべ、俺降りなきゃ」

名前を聞こうとした瞬間、バスのアナウンスが
次のバス停の名前を言う

あーあ、なんてタイミングだ

「あ、じゃあ俺１回立ちま…」

「んーん、そのままでいいよ」

二人席で通路側に俺が座ってしまったから
必然的に彼は出られない状況で。

立ち上がって避けようとすると、彼は
俺の膝に乗っていたスクールバッグを自分の背後に置いた

この時点で、少し疑問は浮かんでいたんだけど

次の一瞬でその疑問は大きさを増して爆発寸前まで膨れ上がった

「ちょっとごめんね」

そう言った彼は、

俺の上に1度座るというワンクッションを置いて
手を振りながらバスから降りていった。

「……え？」

今日の彼の落し物兼忘れ物は、

俺の中に残った最大級のどう言えばいいのかわからないこの感情だ。

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