#6 ページ19
ab「あーあ、そいつに照殺してもらおうと思ったのにな」
iw「ふざけんな!!」
つまらなさそうに呟いた阿部を見て岩本は思わず立ち上がった。
ここまで怒りに震える岩本を見た事が無いラウールは、岩本を見て少し震えた。
iw「俺を恨むのは勝手だ。だからってこいつらをこんな目に遭わせる必要は無かっただろ!!」
ab「だってその方が照は苦しむでしょ」
iw「俺を直接苦しめればそれで良かっただろ!?」
ab「それだけじゃ足りねえんだよ!!」
二人の剣幕に泣きそうになるラウールを、向井と宮舘がそっと宥める。
そんなやり取りが行われている事など全く気付かない程に二人は白熱していた。
ab「お前はふっかの人生を台無しにしたのに……!! お前一人を苦しめるだけで満足出来ると思うかよ!?」
iw「だからって関係無い奴を巻き込むのは違うだろ!!」
ab「はっ! 知らねえ奴がどうなろうとどうでもいいよ!!」
iw「お前……!!」
岩本が阿部に掴みかかろうとしたその時。
sk「もうやめて!!」
そう叫んで現れた佐久間はやけに息を切らしていた。
浅い呼吸を繰り返しながら、それでも佐久間は言葉を紡いだ。
sk「いつの間にか、舘さんいなくなってるし、康二が来た……って思ったら、ラウと一緒に、どっか行くから、嫌な予感して、走って、追いかけてきたんだけど、」
ab「……佐久間、」
阿部は佐久間の様子が可笑しい事に気付いた。
走ってきただけにしては呼吸が浅すぎる。あのカフェからここまでは走ってもそこまで疲れない距離だ。普通なら。
なのに佐久間はこんなに息も絶え絶えになり、真っ白な顔で、若干体がふらついているようにも見える。
sk「阿部ちゃん……」
ab「佐久間、」
sk「だめだよ、照を、殺すなんて、」
佐久間の言葉が阿部に刺さる。
しかし、阿部はとにかく佐久間の体が気がかりで仕方ない。
sk「そんな事、しても、なんにも、ならないよ」
ab「……っ、」
sk「みんな……阿部ちゃんも、悲しい、だけだよ」
dt「……佐久間?」
あまりにも息が整わない佐久間を見て、さすがに宮舘達も異変に気付き始めた。
しかし、遅かった。
sk「だから、やめよ……阿部ちゃ……、」
ab「ッ佐久間!!」
佐久間は言い終わらないうちに倒れ、その体はアスファルトに叩きつけられた。
阿部は佐久間に駆け寄って必死に体を揺さぶった。脈はある、しかし何も反応はない。
宮舘達は突然の事に驚きを隠せずにいた。それもそのはず、彼は寿命の事を誰にも伝えていないのだから。
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作者名：怜
| 作成日時：2020年11月16日 20時
