#4 ページ17
dt「……いい加減にしろよ」
iw「……舘さん、」
dt「照を殺そうとするお前も……黙って一人でここに来たお前も」
岩本に刺さるはずだった刃はその手に掴まれて宙で止まった。
いつもより低いトーンの宮舘の声を聞いて、目黒の瞳がぎょろりと彼に向けられる。
dt「めめ、照を殺して誰が喜ぶの」
mg「……強くなれる、」
dt「本気で言ってる?」
mg「っ……邪魔すんなよ!!」
目黒がナイフを取り返そうと宮舘ともみ合ううちに、ナイフは目黒の手を離れてビルの方へ滑って行った。
慌てて取りに行こうと目黒が岩本から離れた時、宮舘は硬化して尖った爪を一本、目黒の左足に突き刺した。
mg「あ゛……っ!?」
dt「いろんな人を__弟を心配させた罰って事で、これくらいは許して」
宮舘が爪を抜くと、目黒は途端にその場に崩れ落ちた。
iw「何した、」
dt「一時的に痺れさせただけ。時間が経てば解毒されるよ」
mg「い……っ、くっそ……!」
目黒は何とか右足だけで動こうとするも、左足の痺れが酷いのか思うように動けずに蹲っている。
宮舘は目黒を一瞥すると、岩本に手を伸ばして彼を立ち上がらせた。
dt「一緒に行くって言ったよね?」
iw「……」
dt「なんで一人で全部解決しようとしたの」
iw「っ……だって、」
ab「全部お前のせいだから、だよね?」
ビルから出て来た彼はそう言いながら、入口の前に飛んで行ったナイフを拾い上げた。ずっと入口付近で見ていたらしい。
ナイフを目黒に握らせると、阿部は目黒の頭を両手で押さえて言い聞かせた。
ab「しっかりしてよ目黒くん、照を殺してもっと強くならなきゃ。毒なんかにやられてる場合じゃないよ」
mg「っ……ぁ、あ、」
dt「お前、」
目黒が苦しそうな声で鳴くのも構わずに阿部は幻想を刷り込んでいく。
ab「大丈夫、君には毒なんて効かない。普通に動けるよ。だから早く照を殺して」
iw「もうやめろ……!!」
ab「早く照を殺して!」
阿部に手を引かれて目黒は無理矢理立たされると、視点が定まらないまま、身体をふらつかせながらナイフを岩本に向けた。
どう見ても、阿部に酷使された目黒の体は限界だ。なのに阿部は自らの復讐のために、あくまで目黒を操り続けるつもりだ。
mg「ころさなきゃ」
dt「めめ!!」
iw「いい加減にしろよ阿部!!」
ab「じゃあお前が早く死ねよ!!」
mg「つよく、ならなきゃ、」
iw「目黒!!」
目黒が繰り返す戯言を聞いて閃いたのは宮舘だった。
岩本が察してくれると信じて彼は賭けに出た。
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作者名:怜 | 作成日時:2020年11月16日 20時