#3 ページ40
dt「それで、だんだん翔太へのいじめも酷くなってきて、俺はもう見ていられなくなって」
一度言葉を切った宮舘はその続きを話す事を躊躇っているようにも見えた。岩本と向井はただ静かに宮舘の決意を待つ。
dt「……それで、」
だいぶ時間が経ってから宮舘は話を再開した。
dt「翔太がリンチされてた所に呼び出された事があって」
宮舘は、今まで誰にも言った事がなかった事実を口にした。
dt「その時俺、ブチ切れて……そこにいた翔太以外の全員、殺したんだ」
iw「え、」
kj「ほんまに……?」
dt「そうだよ、だから照が人殺しだって聞いた時も軽蔑したりしなかった。だって自分がそうだから」
宮舘はそう言って岩本に目を向けた。人殺しだと知ってもなお、岩本に恩恵を与えてくれるのはそういう訳だったのだ。
kj「……なあ、」
dt「何?」
kj「どうして……翔太、くんと、離れ離れになったん」
dt「俺が逃げたから」
宮舘は即答した。
本来なら情状酌量の余地があるとはいえ、自分は「異端」で人殺しである。
それが周りの連中に知れ渡ったらどうなるか。そんな人間が捕まったりしたらどうなるか。それを想像して恐れた宮舘は一人で逃げ出したのだ。
dt「正直……理由はそれだけじゃないんたけど」
iw「……翔太か」
dt「そう」
世間の目も怖かった。しかし何より、渡辺にどう思われたかが怖くて仕方なかった。
自分は幼馴染の前で人を殺したのだ。硬くした体で相手を殴り、致死量以上の毒を浴びせ、惨く殺したのだ。
いくら渡辺が宮舘の能力を知っていたからといっても、その惨状は見るに耐えないものだったと思う。軽蔑され、嫌われても仕方のない事だった。
でも実際そうなるのが怖かった。だから逃げた。
dt「それでこの街に流れ着いて、何とか食っていく方法を見つけて、今はこんな感じ」
iw「……そういう事か、」
宮舘の話が、岩本の中で過去の記憶と繋がった。
それを宮舘に話す事は憚られた。宮舘が傷つく予感がしたから。
dt「……照、」
しかし岩本の配慮は結局無駄になってしまう事になる。
dt「翔太は……どうして照達の仲間になったの」
iw「舘さん、」
dt「俺が逃げてから翔太に何があったの」
気づけば向井の視線も岩本に向けられていた。
話すべきではないと判断した事を、岩本は結局話す事にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 885人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» わーありがとうございます! 直しました! これからももし見つけたら遠慮せずに教えてください……! ありがとうございました! (2020年11月8日 11時) (
レス) id: f87dad8c17 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 岩本"が"「狩猟豹」なのは＿。 が 岩本"か"「狩猟豹」なのは＿。になってますよ！細かいところですみません。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» いつもコメントありがとうございます! 更新頻度がだいぶ遅くなるとは思いますが、何卒お付き合いよろしくお願いします! (2020年10月24日 11時) (レス) id: 4e2a0ba139 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 新しい作品楽しみにしてました！更新応援してます！ (2020年10月23日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜
| 作成日時：2020年10月22日 23時
