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city #1 ページ1

タンクトップに薄いシャツ、ダメージジーンズを履いて、大きな黒いリュックを背負う男。
岩本照は、その街に辿り着くと足を止めて目の前の光景をじっと見た。


空を隠そうと建ち並ぶ歪な建造物。ビビッドでパステルに彩られたコンクリートに目が眩む。よく見れば、所々赤黒い何かや誰かが吐き出したような何かがこびり付いている。
景色に花を添えるBGMは、下品な笑い声と罵声と悲鳴。急に路地裏から出てきた酔っ払いらしき男が岩本にぶつかったと思うと、よく聞き取れない文句を言いながら去っていった。






__どうしようもなく治安が悪い。
それがこの街の第一印象だった。






しかしどれだけ治安が悪くても、ここに着いた以上この街で過ごすしかない。他の街を目指してもいいがどうせ行く宛も無い。
ならこの街でいい。自分のような人間にはこれくらいの荒れた世界がちょうどいいのかもしれない。自分のような、社会から疎まれた人間には。


岩本は一つ大きく深呼吸をした。
大丈夫。その辺のスリやひったくりには負けない自信がある。その辺の不良にも、なんならその辺の犯罪者にも負けないはずだ。
自分の身は自分で守る。彼にはそれが出来る。彼は「普通」ではないから。
ここまで荒れた街で過ごした事は無いが、きっと何とか生きて行けるだろう。
いや、生きていくのだ、この街で。


iw「……よし」


小さく呟いて、岩本はその街へ初めの一歩を踏み出した。






空に張り巡らされた電線に立つ、全身黒ずくめの二人の男達。
パーカーやスウェットといった動きやすい服を着て、揃いの黒いゴーグルを頭上につけている。
一人は白いマスク、一人は黒いマスクをつけ、黒いマスクの彼は鉄パイプを担いでいた。
仲良く並んだ二人は歩き始めた岩本を見下ろしている。その表情はなんだかにやついているようにも見える。


「ねえ、あの人見た事ある?」
「ない」
「だよねー。大きな荷物も持ってるし、やっぱりあいつは余所者だ」
「……しかも強そうじゃん」
「ふはっ、確かにめめが喜びそうな相手かも。めちゃくちゃごついし」
「あの見た目で弱い訳なくない?」
「まあね……ねえ、行く?」
「行って。いつも通りだよ、わかってるよね」
「んもう、わかってるよ」
「……気をつけろよ」
「大丈夫だって。じゃあ行ってきまーす」

#2→



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設定タグ:雪男 , 能力   
作品ジャンル:ファンタジー
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(プロフ) - 如月ヨシノ。さん» わーありがとうございます! 直しました! これからももし見つけたら遠慮せずに教えてください……! ありがとうございました! (2020年11月8日 11時) (レス) id: f87dad8c17 (このIDを非表示/違反報告)
如月ヨシノ。(プロフ) - 岩本"が"「狩猟豹」なのは_。 が 岩本"か"「狩猟豹」なのは_。になってますよ!細かいところですみません。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 如月ヨシノ。さん» いつもコメントありがとうございます! 更新頻度がだいぶ遅くなるとは思いますが、何卒お付き合いよろしくお願いします! (2020年10月24日 11時) (レス) id: 4e2a0ba139 (このIDを非表示/違反報告)
如月ヨシノ。(プロフ) - 新しい作品楽しみにしてました!更新応援してます! (2020年10月23日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年10月22日 23時

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