#3 ページ28
ラウールが目を覚ました時、視界に入ってきたのは薄暗く汚い部屋だった。
自分の手足が縛られ、口にタオルを噛まされた状態で床に転がっているのに気づいて記憶が蘇る。
物盗りに出かけた帰り、何者かによって連れ去られた。相手は自分の知らない誰かだった。
得体の知れない恐怖、そして本能的な胸騒ぎが止まらない。
fk「んあ、起きた?」
聞き覚えのある声で体を起こすと、部屋の入口の近くに深澤が座っていた。やっほー、と微笑んではいるが、その目は笑っていない。
彼の隣では自分にぶつかってきた男＿＿阿部が壁にもたれ、腕を組んで立っていた。彼はラウールが目を覚ましたのに気づくと部屋を出て、少しして渡辺を連れて戻って来た。
あの日の話では、深澤はあと二人連れてきたと言ったはずだ。それがこの二人、ラウールはそこまでは把握した。
fk「君、あの店にいたって事は照のお友達だよね」
警戒しきりのラウールは答えない。しかし深澤は構わずに話す。
fk「悪いけど、照を連れ戻すためにちょっと協力してよ」
ru「……」
fk「大丈夫、今の所君はただの人質だから。あ、折角だから自己紹介するね」
ラウールの怪訝な目にも臆せず、深澤は呑気に話を続けた。
fk「まずそっちの背の高い奴が阿部亮平です」
ab「自己紹介じゃねえのかよ」
fk「まあいいじゃん? で、阿部ちゃんは「
ab「……その言い方嫌」
fk「だってそうとしか言いようないんだもん。で、それを浴びた人はあら不思議! そいつは阿部ちゃんの思うがままのお人形さんになります」
ab「効くかどうかは相手の体質によるけどね。現に君には全く効かなかった」
ふざけた調子の深澤と対照的に、無表情で言った阿部は部屋を出ていこうとする。
fk「え、何処行くの」
ab「照呼びに行く。俺の能力効かないなら俺がここにいても意味無いでしょ」
fk「折角なら翔太が行けばいいじゃん」
nb「……早く行ってきて」
ab「だってさ」
このやり取りを見るに、深澤は宮舘の事を渡辺に話したらしい。
そこまで察したラウールの呼吸は徐々に速くなっていた。
どうしようもなく胸騒ぎがして落ち着かない。それでも深澤達がいる手前、不安で発狂しそうになるのを必死に堪える。
本当は今すぐここを出たい。ここを出て兄の元へ飛んでいきたい。
自分を見失った兄が狂ってしまうような気がしてならないから＿＿いや、既に狂っている気がしてならないから。
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怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» わーありがとうございます! 直しました! これからももし見つけたら遠慮せずに教えてください……! ありがとうございました! (2020年11月8日 11時) (
レス) id: f87dad8c17 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 岩本"が"「狩猟豹」なのは＿。 が 岩本"か"「狩猟豹」なのは＿。になってますよ！細かいところですみません。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» いつもコメントありがとうございます! 更新頻度がだいぶ遅くなるとは思いますが、何卒お付き合いよろしくお願いします! (2020年10月24日 11時) (レス) id: 4e2a0ba139 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 新しい作品楽しみにしてました！更新応援してます！ (2020年10月23日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年10月22日 23時
