2度目の本丸_1 ページ6
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小鳥の鳴き声で目がさめる
いつもの畳の匂い、布団の匂い...ん? 布団の匂い ...が違う
『 ん”!? 』
目を開けるとそこはいつもの自室ではない、それでも少し懐かしさを感じる匂いはする
上半身を起こして辺りを見回すと、其処ら中に置かれた写真立て
その写真こそ見覚えのあるものばかり、むしろ私が写っている
本やらペンやら、亡き祖父が持っていたようなものにそっくりだ
『 ここって ... 』
「 起きたかな 」
障子の向こうから男性の声がして私は思わず口籠る
そそくさと布団の横に置いてあった自身の服に袖を通して部屋の隅に行く
「 声が聞こえた気がしたんだけど、まだみたいだね 」
誰かに様子を報告したようで、その人はどこかへ行った
私は静かに障子に手をかけそこを開けると、綺麗に整備された庭、それに見覚えがあるのを知らないふりをして部屋を出る
きっと、あの門をくぐれば私は元の世界に戻れるはず、それは実証済みだ
門へ向かってひた走る
ここにいたくない理由はたっぷりある
昨日のことなど忘れた
兎に角今は、帰りたかった
" これからはお前が守るんだ、この場所、彼等、歴史を ... "
" 守る? "
" まだ早かったな、でもいずれわかる "
" 約束する、守るよ! "
思い出したのは祖父の言葉
あと一歩で門をでることができる、それでも私は一度立ち止まる
俯いてみれば砂まみれの足の上にポツポツと落ちていく雫、涙だった
祖父を亡くしたその場所が、祖父と約束した重みのあるその場所が、母となにかあったであろうこの場所が嫌いだった ...
「 司 ... 大きくなったね 」
後ろから声がした
それは昨日の恐怖から私を守ってくれた声であり、ずっと昔、私の父だと、優しく撫でてくれたその人の声だった
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作者名：佐吉いろは | 作成日時：2019年10月6日 20時
