7.待ち時間 ページ8
放課後。
学校から帰ってきた蘭を出迎えると、隣に知らない女子生徒がいた。
「おかえりなさい!」
でも見たことはある……あぁ、そういえばクラスにこんな奴いたな。確か水瀬 葵……だったか?とりあえず髪が派手なことだけは印象に残っている。
「あれ?その人は誰?」
勿論、今はクラスメイトではないので知らないふり。
俺が首を傾げて聞くと彼女はしゃがんで目線を合わせ、人当たりの良い笑顔をして俺の頭を撫でた。
「私は水瀬 葵だよ。よろしくね!君は……毛利さんの弟くんとか?」
「いや、僕は新一兄ちゃんの遠い親戚なんだ。江戸川 コナンだよ」
よろしくね、と子供っぽい笑顔で返すと水瀬は目をキラキラと輝かせ、抱きついてきた。
「か、可愛いいぃ〜!工藤とは大違いなんだけど!」
……どうやら子供にはチョロいらしい。あと一言余計だぞ。
***
私はソファに案内されてテーブルに用意されたお茶を飲む。
「あれ?お父さんいない……コナンくん、お父さんどこに行ったか知ってる?」
毛利さんは各部屋を廻りながらコナンくんに尋ねた。どうやら見当たらないらしい。
「あー……お酒買いに行ったよ?」
「えぇ!?前にまとめて買ったばかりなのに!早く戻ってくるように連絡しなきゃ!」
ちょっと電話してくるね、と伝えると、毛利さんは違う部屋に行ってしまった。ドアの向こう側から怒ったような声が聞こえ始める。
多分日常茶飯事なんだろうなー、なんて思いながら私はまたお茶をすする。
「ねぇねぇ、依頼ってどんな内容なの?」
コナンくんは私の横に座って尋ねてきた。好奇心からか気になるらしい。
「うーん、とある人の正体?を突き止めてほしくて……」
「つまり素性調査?」
小さな子供から出るとは思えない単語がでてきて思わず目を丸くする。
「よ、よくそんな言葉知ってるね!多分そんな感じ」
「えへへ、新一兄ちゃんが色々教えてくれるんだ」
コナンくんは照れ笑いを見せてジュースを飲み始めた。
……工藤のやつめ、こんな可愛い子に余計なこと教えなくていいのに。
あれ、そういえば。
私はコナンくんの横顔をじっと見つめる。
どこかでこの顔……見たことあるような?
そんなことを思っているとコナンくんはジュースを飲むのを止めて聞いた。
「それで、誰の素性を調べてほしいの?」
「えっ」
彼の言葉に肩をビクッと跳ねさせた。
こういう場合って言っていいんだっけ……?
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星空ブリキ(プロフ) - このお話めっっっっっちゃだいすきです!!!!!!! (2023年3月7日 22時) (レス) id: 2cdbc326e2 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - 颯さん» わざわざコメントありがとうございます!!なるほど、普通に文にするのもありですよね、参考にさせていただきます!! (2021年2月25日 21時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
颯(プロフ) - 2章のタイトルちょっと思いついたんですけど、監視対象が見た純黒の悪夢とかどうですかね。参考程度にどうぞ (2021年2月25日 19時) (レス) id: e2ffa37dcb (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - 莉咲さん» タイトルが魅力的だなんてとても嬉しいです!!二時間も時間を使って見つけてくださりありがとうございます!!( ´;゚;∀;゚;) (2020年11月26日 21時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - 。。。さん» わあああ!わざわざコメントありがとうございます!(*^▽^*) (2020年11月26日 21時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎもち | 作成日時:2020年4月12日 16時