3.スタンガン ページ4
全く騙されてくれない安室さんの言葉に固まっていると、彼は流暢に説明し始めた。
「前提として、快晴で雨雲1つ無いのに雷が落ちるのはおかしいんですよ。勿論晴れの日でも雷は落ちますが、それは雲があるからです」
その通りすぎて何も反論できない。
別の方法で切り抜けるしかない?うーん、苦しい言い訳になるしダメ元だけど。
「嘘ついてすみません!
実はこの人達に襲われかけそうになって!護身用のスタンガンで気絶させ……ました」
頭を下げ、彼の顔色を窺いながらか弱そうなフリをしてそれっぽい嘘をついてみる。
「……なるほど。周りの壁も、服も焦げるほど、雷のような音が出る程の威力があるスタンガンを使っているんですか?」
「……」
彼の言う通り、横目で壁を見ると確かにコンクリートの壁が少し黒ずんでいてそちらから焼け焦げた臭いがする。
あぁ、まとめて倒したせいで広範囲に放電しすぎた……!
自分の顔が徐々に青ざめていくのが分かる。
まずい、とてもまずい。「実は超能力でやりました」なんて言えるわけがないじゃん!
すると安室さんは私に近づき、手を差し出した。
「その使ったスタンガン、見せてもらっても?」
「え、えーと……」
こ、この人めんどくさい。はい、そうですかで終わらせてくれない!でも見せるも何も、スタンガンなんて持ってないし。
もう残っている選択肢は″逃げる″しかなさそうだけどもう逃げた方が良くない?
それにもしここで私がこの人を電撃で倒したら、ポアロに行けなくなっちゃう!そしてガチの犯罪者になりかねない!
私は黙って置いてあったスクバを拾い上げ、ゴソゴソと中身を漁る。
……私のスマホカバー、ちょうど黒なんだよね。ちょっとサイズも大きいし一瞬だけ見るぐらいだったらスタンガンって認識してくれないかなーなんて。
私ははスクバの中でスマホを見つけると握りしめ、
「ごめんなさい!」
そう叫びながらスマホを一瞬だけ彼の前に出し、至近距離で彼に向けて手から電撃を放った。
「ぐっ!?」
バチッと音が鳴り、安室が声をあげて倒れた。
……やむを得ないけどやってしまった。バイト中なのにホントすみません。
そしてもうポアロに行きません、とても申し訳無いしせめて梓さん呼んだ方が良いかもしれないけど私は逃げますごめんなさい。
心の中で謝罪して頭を下げると、私はその場を後にした。
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星空ブリキ(プロフ) - このお話めっっっっっちゃだいすきです!!!!!!! (2023年3月7日 22時) (レス) id: 2cdbc326e2 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - 颯さん» わざわざコメントありがとうございます!!なるほど、普通に文にするのもありですよね、参考にさせていただきます!! (2021年2月25日 21時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
颯(プロフ) - 2章のタイトルちょっと思いついたんですけど、監視対象が見た純黒の悪夢とかどうですかね。参考程度にどうぞ (2021年2月25日 19時) (レス) id: e2ffa37dcb (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - 莉咲さん» タイトルが魅力的だなんてとても嬉しいです!!二時間も時間を使って見つけてくださりありがとうございます!!( ´;゚;∀;゚;) (2020年11月26日 21時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - 。。。さん» わあああ!わざわざコメントありがとうございます!(*^▽^*) (2020年11月26日 21時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎもち | 作成日時:2020年4月12日 16時