監視対象は純黒の悪夢を見る【名探偵コナン】

43.異様な光景 ページ7

「み、皆運転荒いっ……」

紺色の車に見事飛び乗る事に成功して風をなるべく避ける為しゃがむ。
しかし、トラックや車を避けながらかなりのスピードで走るので車体の上にしがみついている私は気を抜けば振り落とされそうになる。

いや、多分振り落とそうとしてるんだろうけど。そりゃ高速道路で人が飛び乗ってくるなんてどう考えても異常だし。まぁ磁力で足を固定しちゃえばこれぐらいは何とかなりそう。
えーと、とりあえず車窓を破って直接電気を浴びせて気絶させよう。ここで放電するのもいいけど残念ながらそれじゃちょっと確実じゃないし。

私はしがみつきながら車窓に手を伸ばした。



***



一方、赤井と呼ばれた男は自分の車を台にライフルで射撃する準備を進めていた。
深呼吸をし、逆走してきた車に合わせてスコープを覗いた瞬間、彼は驚きで息を呑む。

「……！？」

遠くだったから最初はよく見えなかったが何故かアイツ、キュラソーの車の上に少女が乗っているのが見えた。
そしてキュラソーはその少女を振り落とそうと荒い運転している。

何をどうしたらそんな状況になるのかは分からないが、車体の上に乗っている少女にも見覚えがある。
『水瀬葵』。少し前に沖矢昴として会った相手であり、ボウヤが少し怪しんでいた少女だ。

さっきの車窓越しでは見えなかったが降谷君の車に乗っていたのか？だとしたら黒の組織関係では無いのだろうな。

するとこちらがライフルを向けている事にやっと気づいたのか、キュラソーは弾が当たらないように車内の下に潜り込んでスピードをさらに上げた。

まずいな、俺ごと引き殺すつもりか？なら狙うはタイヤか。しかし車体の上にいるお嬢さんを巻き込んでしまう可能性が……。

するとお嬢さんの方は俺が見ている事に気づくと青ざめ、ピシッと時が止まったように動かなくなる。

「……？」

一体彼女は非力そうな細い腕で何をしようとしたのだろうか。自分が出てきたせいで予定でも狂ったのか？

そんな事を考えている間に車との距離が縮んでいく。考えてる暇はないらしい。

すまないな、キュラソーを止めるのが最優先だ。

心の中で彼女に謝りながらも引き金を引いた。

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