監視対象は純黒の悪夢を見る【名探偵コナン】

41.近道 ページ5

ライトアップされた綺麗なブリッジの上では後ろから来ていたマスタングとRX-7が衝突した。
車内が大きく揺れ、私は小さく悲鳴をあげる。

「っ！一体何が何なの！？」

「下がれ赤井！奴は公安のものだ！」

窓越しに叫ぶ安室さんに赤井さんは黙りながらも睨む。

「こ、こういう時ぐらい協力すればいいんじゃ……」

すると女性の車が脇にいるトラックに並んでいた赤い車をぶつけ、文字通り吹っ飛ばした。
高く舞い上がった車は私達目掛けて落ちてくる。

「ひぇっ……！？」

その場の全員が降ってきた車を視界に入れ血の気が引くが、安室さんと赤井さんは息ピッタリに車を動かし、降ってくる車を避けた。
車はそのまま私達の後ろを滑っていく。

な、何でこの人達息合いそうなのに一時的に協力しないんだろう！？

そんな事を思いながら後ろを確認すると赤い車は走っていた大型タンクローリーと衝突して、二車線を塞いだのが見えた。
車内から人が慌てて出てきていたが、とりあえずどちらも無事らしい。
無事を確認しとりあえずホッとする。後ろを向くのをやめて前を向こうとすると、別の赤い車、マスタングが急ブレーキするのが目に入った。

なぜ急に止めたのだろうか。

「も、もしかしてあの赤井って人諦めたの？」

「さあな、それなら好都合だ」

安室さんはニヤリと笑って前の車から目を離さない。
すると徐々にRX-7が後ろから迫ってきている事にミラー越しで気づいた女性はスピードを上げ、隣で走るトラックに体当たりする。
体当たりされたトラックは勢いで前のトラックに衝突してしまい、そのまま滑りながら高速道路の防音パネルを崩していった。
まさかの事態に驚きつつ安室さんは車を止める。
防音パネルが無くなった部分からトラックが下の高速道路に落ちると女性の車はそれを追って落ちる。そしてトラックをクッションにしてほぼノーダメージで近道し、そのまま走っていった。

「だ、ダイナミック近道すぎる……」

「チッ、逃がすかッ！」

唖然としていると、安室さんは悔しそうに舌打ちしアクセルを強く踏んだ。

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