33.白くなった彼女は ページ34
坂を転がるホイールを追いかけていると水族館のスタジオに突撃しているのが見える。スタジオとホイールの間にはクッションのように大きく膨らんでいくサッカーボールがあった。
それでもホイールは止まらない。
ゴンドラの方を見上げるとやはり子供達が中にいる。ホイールが動く反動で子供達は体勢を崩し、悲鳴を上げているように見えた。
「みんな……!」
私はクレーン車を操縦し、アクセル全開で観覧車が止まるように下から突っ込む。
ぶつかった衝撃で指にかかっていた白いイルカのキーホルダーが大きく揺れた。
ダーツで貰った、あの子達と色違いのキーホルダー。
……こんな私に思い出をくれた子供達を、この場所を、これ以上壊してはならない。
「_________止まれえぇぇッ!!!」
そう叫んだ瞬間、クレーン車の天井が音をたてて崩れていった。
***
キュラソーの後を追いかけてホイールの下に辿り着くと、目の前にはホイールの重みで潰れたクレーン車があった。
そのおかげなのかホイールはもう進まずに制止している。横にある水族館の方はスタジオ以外大きな被害は出なかったみたいだ。
「う、嘘……」
しかしクレーン車の運転席は跡形も無く潰れている。その光景を見て一瞬固まってしまった。
じゃ、じゃあ乗っていたキュラソーは!?
急いでクレーン車の元に駆け寄ると磁力を上乗せして両手で観覧車を少しだけずらし、運転席のドアを壊す。
血特有の臭いが鼻を通った、嫌な予感に顔が青ざめる。
「キュラソー!返事して!」
さっきまで一緒にいて喋ってたのに!こんな呆気なく
「君!危ないから下がっていなさい!」
「!」
誰かに後ろから声をかけられ、腕を掴まれる。振り返ると警察の人が少しずつ集まっていた。
「あの!この中に人がいるんです!助けてください!」
「勿論全力を尽くすさ、だから君はもう下がっていなさい。またホイールが倒れると危険だからね。
それに君も手当てが必要だろう、ここは救助隊員の人に任せてくれ」
傷だらけの体を指されて唾を飲む。
確かにここは素人の自分より専門家の人の方が良いのかもしれない。
私はゆっくり頷いて瓦礫から手を引いた。
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秋海(プロフ) - ありがとうございます…! (2021年8月8日 19時) (レス) id: 628fc0211f (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - 秋海さん» ありがとうございます!!!夢主ちゃん描いてくださったんですか!?自作発言などなければ基本的に載せていただいて大丈夫です! (2021年8月8日 19時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
秋海(プロフ) - 作品とても面白いです!!夢主ちゃんが可愛かったので描いてみたんですが、見て頂きたいので自分の作品の方で載せても良いですか…? (2021年8月8日 18時) (レス) id: 628fc0211f (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます、白いカードのシルエットのことでしょうか?そうです降谷さんです、合っていますよ!! (2021年8月5日 16時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - あの、ホーム画?イメ画?のシルエットになってるイラストって、降谷さんですかね。?!((((違ったら全力逃走 (2021年8月5日 5時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎもち | 作成日時:2021年3月2日 17時