監視対象は純黒の悪夢を見る【名探偵コナン】

65.飛び込み ページ29

銃弾から逃げていたらそのままはぐれてしまった私はとりあえず走り続けていた。

「しかもスマホどっかいっちゃったし……」

どうか私のスマホを安室さんが拾ってくれてますように！

すると途中で乱雑に撃っていた銃弾が一点集中で何処かへ降り始めた。

誰かが狙われてる？
っていやいや、とりあえず今のうちに何とか撃ってきてるヘリを止めなきゃいけないでしょ！
でも私が能力を使わずにできることって特に無いような。天才的な推理力も銃で迎え撃つ力も無いのに、私に何ができるんだろう。

そのとき、弾丸の雨で観覧車が壊れていく物音が後ろから一気に迫ってきていた。
嫌な予感がして振り向くと銀髪で少しボロボロになった女性がこちらに向かって走ってきていた。

「え、キュラソーさん！？」

「！？」

さすがに会ったことは覚えているようで私を見つけると巻き込まない為か、隣にあったフェンスをジャンプで超えて下の階へ飛び降りた。
銃弾はその後を追いかけていって上から降ってきた瓦礫にぶつかったキュラソーさんはその反動で気絶してしまう。

「え、ちょ」

そのまま体勢を崩し、瓦礫と一緒に落下して……。

「ッキュラソーさん！」

私は思わず飛び出し、キュラソーさんの手を掴み自分の方に体を引き寄せる。

あ、さすがに自分より大きい人を背負いながら移動するのキツイかも……！

私はあっちにバレないように真下にある瓦礫を磁力で速度調節してなるべく落下速度を落とした。その代わり銃弾に当たりやすくなるけどこれはもうしょうがない。

「う、海に飛び込むしか！」

そして視界の前方に海が見えたので一瞬でそこに突っ込むことも決め、そのまま重力に従って海に飛び込んだ。



***



冷たい水の中で体の数ヵ所に痛みが走り、顔を歪める。
少し海に潜ってたしそろそろ顔出してもいいでしょ、と水中から顔を出し息を吸う。上を見上げて空を確認してみた。

まだヘリはいるけど撃ってこないみたい、とりあえずここから上がってもいいよね？

キュラソーさんを引きずりながら河川敷のような場所に上がった。彼女の体をなるべく優しく横たわらせた後、自分の体を確かめる。
足と肩から数ヵ所血が流れていた。血特有の臭いがする。ていうか結構新品の洋服なのに汚れちゃったな。

それに海の中にいたからか寒い、風邪ひきそうだ。

……とりあえずヘリのやつは安室さん達に任せていいかな。

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