その少女、監視対象 No.3【名探偵コナン】

79.混乱 ページ10

一体何がどうなっているの……？

急に新しい幹部を紹介され、呆然とする。

私はプロの女優だ。動揺してるのを隠す事は朝飯前のはずなのに動揺を隠している事を気づかれないか心配で、つい周りを見てしまう。なぜかバーボンも微かに動揺しているように見えた。

帝丹高校にMr.新出として潜入していたときよく見た少女……Witchがここにいる。見間違い……ではないはずだ。
校則違反でよく怒られていた目立つ髪色もそのままだし、双子や姉妹もいないと聞いている。

でもアメリカにいてそこで功績を積んで幹部になっているという発言がかなり違和感ね。何か偽装してるのは間違いなさそうだけど。
それに何で貴方がこんな組織に入っているの？

「……宜しくお願いします。アメリカの方では情報屋をやっていました」

ギブソンと名乗った彼女は眉一つ動かさずに自己紹介する。高校で会ったときと比べると幾分雰囲気が暗い。
演技かと一瞬思ったがそんな様子は感じられない、だが明らかに学校で会ったときと雰囲気が違う。

やっぱり実は双子だったの……？

「新しい任務を遂行するにあたり、ギブソンとペアを組んでもらう。
バーボン、お前が面倒を見てやれ」

「……！分かりました」

幹部としての教育係って事かしら。

彼女はバーボンと呼ばれた男性を見上げるとぺこりと頭を下げた。

「バーボンさんですね、お世話になります」

「……えぇ、こちらこそ」

あの娘がなぜ黒の組織にいるか分からない。
理由を聞き出す為にも後で話しかけておこうかしら。



***



「今回は僕達の専門である情報収集が主な任務です、難しい事は無いと思いますが何かあれば聞いてくださいね」

「了解しました」

「……」

やはり違和感が凄い。水瀬のいつもの声はもっと……こう、うるさくてハキハキした感じだ。
後ろから着いてくる彼女の声が静かすぎてむず痒い。

僕は振り向いて彼女の顔を再確認する。どうみても容姿は水瀬 葵だ。

……やはり水瀬のクローンというやつだよな？
もしクローンだとしたら秘密裏に黒の組織とクローン開発の研究機関が繋がっているのか？でもそうなるとなぜコイツは下っ端で普通にいた？

ジンも特に話さなかったようだが……謎が多すぎる、とりあえず面倒を見て聞き出さなければ。

80.大事な用→←78.邂逅

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す