73.不幸体質 ページ4
学校の階段を駆け上がり、自分のクラスの教室の扉を開けるとクラスメイトの皆は昼食を食べていた。
昼休みの時間帯に登校してきたので少し注目が集まるが視線を気にせずに私は自分の席の方へ足を進める。
「あ、やっと来た!もうお昼休み終わるぞー?」
「あはは、寝坊して遅くなっちゃった。おはよう」
菓子パンを頬張りながら私をからかう友達、ありさに苦笑いで返しつつ自分の席に座った。
ふと前を見ると、正面の席にいつもいる千歳がいない。弁当は空のまま机にあるから席を外しているだけだろう。
私は鞄から途中で買ったおにぎりを出し、袋を開ける。
「そういえばさ」
「……って何?」
おにぎりを食べようと口を開けたところで話しかけられたので一旦手を止めるが食べながらでいいよと言われ、私はそのまま頬張る。
口の中にツナマヨの味が広がった。
やっぱツナマヨしか勝たん、美味しい。
「昨日の深夜にコンビニ行ったんだけど、帰るときにちょうど葵っぽいの見かけてさ」
「え、私?」
深夜にコンビニって……昨日の帰りにありさの家がある方に寄り道はしてないし会うわけがないんだけど。
い、嫌な予感がする。
「『葵ー!』って遠くから話しかけたんだけど反応してくれなくてそのままどっか行っちゃってさ。
……その様子だと人違いだよね。それに葵、また怪我してるし」
ありさはそう言いながら包帯が巻いてある腕を指差した。私は怪しまれないようにゆっくり頷く。
「う、うん。人違いじゃないかな?」
そうだ、きっと人違い。まさか……ね?
「そっか……で、その怪我どうしたの?足にも色々絆創膏貼ってるけど」
「あぁ、これは昨日の東都水族館での事件に巻き込まれて……」
「え、あの水族館上空に軍用ヘリがいたとか、観覧車のホイールの1つが外れて転がったやつの事件!?」
身を乗り出して聞くありさによく知ってるね、と言うとニュースで見たのだと言われる。
「確か他に毛利さんと鈴木さんと一緒に行ってきたんでしょ?でもあの2人は全然怪我してないし……」
彼女の目線の先には席に座っていた次の授業について話している蘭ちゃんと園子ちゃんがいる。
あの2人は幸い、被害が少ない区域に逃げられたから何ともなかったんだよね。
「……もしかして葵って不幸体質?」
「それは、否定できないかも」
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よもぎもち(プロフ) - アリアさん» そうです、オマージュさせていただいてます!ありがとうございます!! (2022年4月27日 2時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
アリア(プロフ) - コメント失礼します!この話ってもしかしてなんですけど、【とある科学の超電磁砲】って話を元にしてませんか??すごく面白くて好きです!! (2022年4月26日 15時) (レス) @page12 id: 9a7bd0b00e (このIDを非表示/違反報告)
藍梨(プロフ) - 見てもらえるとうれしい( ´∀`)です (2022年3月13日 11時) (レス) @page14 id: 42bd1ecc91 (このIDを非表示/違反報告)
藍梨(プロフ) - よもぎもちさん» イメログの夢主ちゃん描かせていただきました!シリーズにあります (2022年3月13日 11時) (レス) @page14 id: 42bd1ecc91 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - べにまる。さん» 好きと言っていただけてとても嬉しいです!イラスト嬉しいです、ぜひ見せてください! (2022年3月7日 14時) (レス) id: 2b1ed576a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎもち | 作成日時:2021年9月14日 17時