. ページ16
.
三村side
昔からAには何でも話してきたし、
落ち込んだらAの部屋に行って、何も言わないで僕の話を聞いてくれていたA。
でも最近来てなかったから、
久々にAの部屋に来たんだけど、Aはビックリしたみたいで「なんで?」なんて言われてしまった。
僕もAならと思って来ていたから、
さすがに少し傷付いて「帰る」と言って部屋を出ようとした。
それでもAは「大事な幼馴染だから」と引き止めてくれた。
Aは僕が何を言ってもちゃんと聞いてくれて、
でも自分からは無理に聞こうともせずに言うまで絶対に待ってくれるし、
その間、僕が言いやすい様にリラックス出来る様な空間を作って気を遣ってくれる。
今日もそうだ。
何か持ってくるね、と何が良いか聞いてくれて、
「お茶点てて」と我儘を言った僕を笑って許してくれる。
こんな素敵な幼馴染に何故彼氏が出来ないのか、
何故彼女の言う想い人は振り向いてあげないんだろうか、
そんな事を考えていたら眠りに落ちてしまっていたらしい。
○「…くん!ねぇ蓮くんってば、起きて!」
蓮「…ん、ごめん。起きる、」
○「お茶、薄いのがいい?」
蓮「普通で良いよ、僕もう子供じゃない」
○「ふふ笑はいはい、まだ高校生のくせに」
蓮「それはAもでしょ」
○「そうだけど、私茶道部だもん」
蓮「まぁね笑…ねぇA?僕やっぱり演劇部辞めた」
○「っ、そっか、」
蓮「うん。前にさ、頼まれて脚本書いたって言ったじゃん」
○「あのー山田くん?に頼まれたってやつ?」
蓮「そう。それがね、厨二病みたいって、笑
そのせいで部がバラバラになってたんだ…」
○「それで落ち込んで、さっき厨二病とか言ってたの、笑
でもあの時読ませて貰ったけど、私、あれ好きだったよ?」
蓮「良いよ、気遣わなくて笑」
○「本当だよ!心から面白いって思ったもん!
…あ、じゃあ私も厨二病なのかもね?笑」
蓮「…ありがと、Aも厨二病なら良いや笑」
○「ねぇ酷くない?それどういう意味〜?笑」
蓮「Aが幼馴染で良かったなぁって意味!
これからもずっと大事な幼馴染でいてよ」
○「…うん、!もちろん。
どっちかに相手が出来ても、話は聞いてあげるからね?」
蓮「まぁ、きっと僕が先だけどね笑」
○「そんな事ないよ、頑張るもん」
"幼馴染で居て"
そう言った時、一瞬だけAの表情が曇った事に、僕はまだ気づかなかった。
.
179人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴゅかぴゅう | 作成日時:2020年5月10日 15時