【08】どうか清くいられるように ページ8
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「うん、キレイだね。ほんとうに上手」
「慣れですよ」
染色されたヒナゲシの花をしげしげと眺めながら先生は満足げに微笑んだ。最初のうちはむつかしいと感じた植物の扱いも、習ってニ年が過ぎた頃にはかなりの自由自在の域にまで達していた。けれど、とくべつ披露する場もないし披露するつもりもないので、使い道はたったひとつだ。
花とか蝶とか繊細なものを魔法でいじくるのはどうも性に合わない。うすく微笑む先生を尻目に、俺は先日のヒロトさんのことばかりが脳裏に浮かんでやまなかった。あの人は何をしている人なのだろう。あの人はどこの人なのだろう。少なくとも種族は人間のように見えたけど･･････。
「なんにせよ、星夜祭には花を咲かせなきゃなりませんから」
「･･･、うん。うん･･･」
俺がこの話をすると、先生はきまって悲しい顔ばかりをする。どうしてなのかはよくわからない。俺を哀れんでいるからなのか、何かを思い出しているからなのか、俺よりも幼い顔をして言葉につまるので、何か先生にとってはとてもデリケイトなことなのかもしれない。表情の所以を聞ける訳もなく話題をそらす。
「最近はとみに忙しげですね」
「まあ、多忙というのもある種の娯楽だから。･･･もしかして私は、マサキに寂しい思いをさせてしまっているのかな？」
「いや全然違うけど･･･」
「可愛くない返事！」
俺の気づかいを感じてしまってかいつもの飄々を取り戻す先生。俺より幾年早く生まれたからって、そこまで気負う必要はないのに。流れるように話題を変えていくと、ある話を持ち出した際、先生の顔つきがこわばった。
「教会に行ったの？ いつ？ なにか用事があった？」
先生の目が宝石みたいで光を放っていた。俺は怯みながら指先に込められた力で花びらをちぎってしまった。なんだ。叱られているのか、俺は。震えてしまわないよう喉から声を絞り出して。
「や･･･何も･･･」
「手入れがゆき届いていなから無闇に出入りすると危ないよ。怪我をしていないなら良いけれど･･･」
次は水の浄化を教えてあげる。得意なんだ、これ。
いつもぼんやりして掴みどころのない人に見える先生でも、俺はすぐに気がついてしまった。俺を心配する口振りの影に潜めた眉は･･･きっと先生は、教会のことが嫌いなんだって。
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ヅカ(プロフ) - レアノさん» レアノさ〜ん(;;)(;;) かなり自己満な小説なので皆さまがどうお思いになるか定かではありませんが、いつも通りいかせてもらうので是非見守ってやってくださいp(^-^)q まったり更新でがんばりま〜す！ コメントありがとうございました！ (2021年8月7日 22時) (
レス) id: b8ee486810 (このIDを非表示/違反報告)
レアノ - 御伽噺のようなお話の作り方が大好きです。マサキと夢主とヒロトのこれからがどうなるのか続きがとても楽しみです。更新応援してます。 (2021年7月24日 14時) (レス) id: a91aad1e54 (このIDを非表示/違反報告)
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