○ ページ6
その時だった。
ギュッ。
後ろから優しく包むように、けれどぎゅっと力強く抱きしめられ、俺の思考は停止した。
いま、何が起こってる？
「な、に....」
「竜兎、聞いて。」
「っ、。」
耳元で聴こえる大好きな声に、たまらなく泣きそうになる。
「竜兎........好きだ。」
「................は、？」
「俺も、お前が好きだ。」
苦しそうに吐き出されたその言葉は、今にも消えそうで、とても震えていた。
これは何かの冗談なんじゃないか。
ただの同情で、無理して嘘をついてるだけなんじゃないか。
そうに違いない。
だって、....だってそんなはず。
「う、そ....。」
「嘘じゃない。同情でもない。俺は、ずっと、....ずーっと前から、お前のことが好きだった。」
「っ！」
「言ったってお前を困らせるだけだって、嫌われるんじゃないかって思って....言えずにずるずる引きずってた。....何回も諦めようとした。けどやっぱり諦めたくもなくてさ。誰かのものになって欲しくない、ずっと俺が一番でいて欲しいって........そのためには、この想いは伝えちゃいけないと思った。」
「そんな、....。」
陸玖の力が緩み、今度はくるっと陸玖の方を向かされた。
陸玖の顔は、今まで見た事がないくらいに泣きそうだった。
「俺が友達でいられないって言ったのは、俺もお前と同じ気持ちだったからだ。........これからは幼なじみでも友達でもなく、"恋人"になるからな。....友達じゃないだろ？」
「....ほ、ほんとに....？」
「こんな嘘つかない。ほんとだ。....だから、もう1回、聞かせてくれ。」
「っ........、好き、だ。....っ陸玖が、好きだ....！」
「うん。俺も好きだ。もう、二度と言わないなんて悲しいこと言わないで、むしろ毎日言ってくれ。」
「言う....言うっ、から........陸玖....！」
「竜兎....。」
「好きだっ....！」
「好きだよ。」
1度は捨てようとした想い。
失うかもと恐れた大切な人。
すれ違って、遠回りして、ようやく出逢えた。
もう二度と、離れない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
幸喜(プロフ) - くろ狐の暇潰しさん» ありがとうございます！！ (2019年8月8日 23時) (
レス) id: d3265c7f63 (このIDを非表示/違反報告)
くろ狐の暇潰し(プロフ) - 幸喜さん» わざわざすいません！返信ありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2019年8月8日 18時) (レス) id: eabc7a4ecc (このIDを非表示/違反報告)
幸喜(プロフ) - くろ狐の暇潰しさん» そう言っていただき光栄です....！僕も語彙力が無い身なのですが、読みやすく書けているなら良かったです！あまり難しい表現を使われても頭に入ってこなかったりしますからね....文章を書くって難しいです(汗)コメントありがとうございます！ (2019年8月3日 16時) (レス) id: d3265c7f63 (このIDを非表示/違反報告)
くろ狐の暇潰し(プロフ) - すごいです！！ わたし語彙力無いが故にまともな作品をつくれないもので……。 読みやすかったです！！ (2019年8月2日 10時) (レス) id: eabc7a4ecc (このIDを非表示/違反報告)
幸喜(プロフ) - 湯96_yukuro_さん» 僕自身語彙力が本当にないので、難しい表現が使えないと言いますか....なので、割と誰でも読めるような文になっていると思います！そのおかげでスっと入っていってくれたのかもしれないですね(？)コメントありがとうございます！ (2019年7月26日 7時) (レス) id: d3265c7f63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：幸喜 | 作成日時：2019年7月22日 0時
