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��Act.1 ページ16
幼気な女童だった。年頃はやっと両手で数えられるくらいであろう。色白で、嫋やかで豊かな黒髪と深紅の大きな瞳が印象的で、ただそれだけの筈なのに、心が歓びにうち震えた。
少女はその奇異な見目により、集落から“忌子”と疎まれている。そしていつも、私の住まう祠の側――鳥居の足元――で独り遊びに耽っていた。
仔鹿のように駆け回り、鈴の音を思わせるような声で無邪気に笑うその少女を、狂おしいくらいに見詰めた。それ以外のものなんて、その瞬間から私の双眸からは奪われたのだ。
寝ても覚めても頭の中を占めるのはあの少女のことばかり。
子どもは甘味を好むだろう。ならば、供物にあった砂糖菓子を与えれば、少女はまたあのように笑うだろうか。「おいしい、おいしい」とあのふくふくと柔らかそうな頬に手を当て、蕩けるように目を細めて。
彼女を想い煩う度に、重く甘い溜息を落とす。まるで恋のようだった。どんな美酒も私を酔わすには満たない。
私の心を揺さぶるのは、あの可憐で清廉な少女ただ一人。私は人の子に、救済の望めぬ恋慕と執着を産み落とし、そして誰に知られることもなく育んだのだ。
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紅 - 凄いです！とっても。 (8月26日 21時) (
レス) @page4 id: 2876b83137 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芙蓉 | 作成日時：2017年11月3日 11時
