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2人で傘もささずに土砂降りの中、ただただ灰色の海を眺める。
すると急に伊野尾ちゃんが海に向かって歩き出し、そのままザブザブと水に入っていく。
慌てて追いかけて水に入ったところで、彼の肩が小さく震えているのに気がつき立ち止まった。
雨が水面を打つ音だけが響いている。
霞む視界のせいで伊野尾ちゃんが本当にそこにいるのか、夢なんじゃないかと不安になった。
彼はもしかしたら現実と幻想の狭間を生きているんじゃないか、とくだらないことを考えてしまうことがある。
降りしきる雨の中
きみが消えてしまいそうで
思わず後ろから抱きしめた。
「俺っ…」
「大丈夫、大丈夫。分かってるよ。置いて行ったりしない。俺はいつも伊野尾ちゃんの隣にいるよ」
夕立がきみをさらいそうで
少しでも離れているのが怖くて
濡れた細い体をさらに強く抱きしめた。
芸能界という世界に生きていると、時折、まるで彷徨う風のように自分が見えなくなることがある。
周りから求められる自分があまりにかけ離れていたり。
本当の自分はどこにあるのか。どれなのか。
すべてに背を向けてしまいたくなる。
負けそうになってしまう。
「…山田に、近づきたかった。
ずっと後ろから追いかけてたから、少しでもっ…て。
今まで先頭を走ってきてくれた分の恩返しがしたかったっ…
でも、また離れちゃったね。またやり直しだね」
伊野尾ちゃんの前に回り込む。
腰のあたりで波がザブザブと揺れる。
濡れた長い前髪が俯向くきみの表情を隠す。
伊野尾ちゃんが頑張っていること、俺が一番知っているよ。
「みんないるよ。みんな、伊野尾ちゃんの味方。
俺たちは、進むしかないから。
ただ歩いていくしかないから」
「…うん。
ありがとう。
こんなとこで止まってられないよな」
幾分か生気の戻った声で伊野尾ちゃんはそう言って、赤くなってしまった目でしっかりと俺を捉えた。
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凛(プロフ) - 白米と猫さん» 返信がめちゃめちゃ遅れました…！ごめんなさい…！ 読んでいただきありがとうございます！！ 最後の方がグダッてしまいましたが、私自身ニヤニヤしながら書いたので白米と猫さんにも楽しんでいただけて大変嬉しいです^ ^ (2017年1月9日 22時) (
レス) id: 53968e2e24 (このIDを非表示/違反報告)
白米と猫(プロフ) - クリスマスのやまいの最高です！！ (2016年12月26日 0時) (レス) id: f122806c5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - とても面白いです(^o^)いのやま好きなので案Aがいいです！更新楽しみしてます！ (2016年7月28日 2時) (レス) id: 41358da221 (このIDを非表示/違反報告)
しおり - どちらも素敵なのですが、案Aのやまいのの続きが気になるのでAを希望します！ (2016年7月3日 23時) (レス) id: 83528b9846 (このIDを非表示/違反報告)
いのやま - 案Aがいいです！いのやまの続きが読みたいです！ (2016年7月3日 23時) (レス) id: 894b723aeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛 | 作成日時：2016年5月1日 23時
