ゲタ吉とお父さん ページ9
折角来てくれたのだからと、彼の父は冷たい麦茶を出してくれた。
失礼ながら、こんなあばら家でも冷蔵庫があるのだなと思ってしまった私を、誰か殴って欲しい。
しかし冷房もないのに部屋が涼しいというか、寧ろ寒気がするのがとても不思議だった。
「寒そうですね。まあ幽霊屋敷だから人間には少し寒すぎるのかもしれない。これ着てください。」
そう言って田中くんは、私に自分が着ていたシャツを渡してきた。
その心遣いは有り難かったが他人の服を着るのに少し抵抗があり、私が着るのを渋っていると、何を思ったのか無理矢理着せてきた。
確かにそれは暖かかったが、彼の嬉しそうな笑みに悪寒を感じた。
「Aちゃん、ゲタ吉が普段迷惑してないじゃろか？」
彼の父がそう聞いてきて、私は返答に迷った。
子の恥ずかしい所など、親なら聞きたくないだろうから。
しかし嘘つきにはなりたくないので、私は正直に答える事にした。
「してないと言えば、嘘になりますね。」
「え。」
驚きの声をあげたのは田中くんである。
先程の仕返しとでも思ってくれればいい。
「たな…ゲタ吉くんとは席が隣なのですが、授業中はいつも寝てるし、昼食時には私の弁当の半分を奪っていくし、この間なんかは彼の私情でプールの授業を見学させられて…」
「Aさん…？」
彼の日常を洗い浚い話すと、彼は白い顔を青くして、彼の父は鬼の形相で彼を睨んだ。
流石にこのまま説教になるのは可哀想なので、普段思ってる事を付け足す事にした。
「でも、一緒に居るのは楽しいですよ、意外と。喋ってて飽きないし。テストだって赤点回避したらお願いを聞いてあげるって約束だったけど、見事に一番取ってきて驚いたのですが…あ！彼、やれば出来る人だと思うんです。」
言い終わってから面談の様になってしまったと恥ずかしくなり、俯いて少し後悔する。
何故か静かになった彼らの様子を見ようと顔を上げれば、二人は大粒の涙を流して泣いていた。
ギョッとして慌てて彼らに声をかければ、彼の父は涙ながらにこう言った。
「Aちゃんは本当に良い子じゃなァ！ありがとうのう！」
何故か感謝されて戸惑う中、田中くんは私に抱きついてこう言う。
「Aさん！いえ、Aちゃん！日頃からそう思ってくださってたなんてぼく嬉しいです！これからも迷惑かけますがよろしくお願いします！」
喜んでくれたみたいで良かった様な、複雑な気持ちになったが、取り敢えず迷惑はかけないで欲しいなと思った。
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ミネ丸(プロフ) - ルーシュ1101さん» ルーシュ1101さん、読んでくださりありがとうございます！遅めの更新かもしれませんが、飽きずに待っていてくださると嬉しいです！ (2月21日 3時) (
レス) id: 8755400abf (このIDを非表示/違反報告)
ルーシュ1101(プロフ) - 最近〓くんにハマったばっかりなので〓くんの小説で更新されているものがあって凄く嬉しいです！！！これからも更新頑張ってください！！ (2月20日 18時) (レス) @page5 id: e241173cc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミネ丸 | 作成日時：2024年2月3日 4時
