ゲタ吉とお家 ページ8
田中くんは、満足するまで膝枕を堪能すると、起き上がって私の手を引いて歩き出した。
別に彼の家族に会うのはいいし、紹介しようがどうって事はない。
しかし、何だか嫌な予感がするのだ。
嫌なという名の面倒事が。
私は取り敢えず手ぶらはダメだと思い、前を歩く彼を止めようとした。
「田中くん、ちょっとだけ待って。すぐ近くで手土産でも買ってくるから。」
「大丈夫です。手土産なんぞ持ってなくても、ぼくの父は気にしません。」
「君のお父さんが気にしなくても、私の方針に違反するの。」
「まあ、そう気にせず。」
どんなに言っても彼の止まる気配はなく、私は手を引かれるままに彼に着いて行ってしまった。
気付けば私は田中くんの家の前に居た。
彼の家は言ったら失礼だが、オンボロのあばら家の様な家だった。
彼はドアを開けると家の中にいるであろう彼の父に一声かけ、私を家の中へと招いた。
「お父さん、ただいま。」
「おうきたろ…ゲタ吉や、その子はどうしたんじゃ？」
お父さんと呼ばれたその人は、ゆっくりと立ち上がりこちらを見て優しそうに笑った。
彼らはよく似ていて、親子でもここまで似ているのは初めて見るもので、私は物珍しさに二人の顔を交互に見つめる。
流石親子、身長や片目を隠している所、髪色、目の形、顔つき、瞳の色まで似ている。
私はハッとして、慌てて挨拶をした。
「ぉ、お邪魔します。」
「父さん、彼女がぼくのガールフレンドのAさんです！」
「あ、クラスメイトです。」
一発ど突いてやりたかったが、彼の父の手前下手な事は出来ないので、唯訂正するだけに留めた。
私の言葉に不満げな視線を向ける田中くんを無視して、私は彼の父に頭を下げた。
「訪問するのに手土産の一つも持って来ずすみません。あまりに急に連れて来られたものですから…。」
「気にする事はない、ゆっくりして行くといい。それより、Aちゃんと言ったかの？」
「はい。」
「お主がきた…ゲタ吉のやる気を出させてくれたのじゃな！ありがとう。き…ゲタ吉は勉強もドベでイロキチなものでの、この不良息子には困っておったんじゃが、Aちゃんのお陰で試験も一番を取れた。普段はいい子なんじゃがな。改めてお礼を言おう。」
「ありがとう。」とお父さんに頭を下げられて、私は慌てて否定した。
しかしよく考えれば、確かにこんな子供だと親は手を焼くのだろう。
彼の父をよく知らない私が言うのも難だが、お父さんの苦労が垣間見えた気がした。
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ミネ丸(プロフ) - ルーシュ1101さん» ルーシュ1101さん、読んでくださりありがとうございます！遅めの更新かもしれませんが、飽きずに待っていてくださると嬉しいです！ (2月21日 3時) (
レス) id: 8755400abf (このIDを非表示/違反報告)
ルーシュ1101(プロフ) - 最近〓くんにハマったばっかりなので〓くんの小説で更新されているものがあって凄く嬉しいです！！！これからも更新頑張ってください！！ (2月20日 18時) (レス) @page5 id: e241173cc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミネ丸 | 作成日時：2024年2月3日 4時
