ゲタ吉と体温 ページ2
そもそも何故、私が言い寄られる身になったのか。
そんなの私が一番聞きたい問題である。
美人好きな彼からして、私の顔は別に普通だし、タイプは特にないと彼から言われた。
それはそれで複雑だが、矢張り何故私が彼に好かれてるのかは分からなかった。
いくら考えても分からないので、まあある意味利用されてるのだと思う事にした。
じゃないと、転校初日に私が案内役に選ばれた理由に、納得がいかないから。
煩く喚く女よりも、一つ格下の女のがマシだとでも思ったのであろう。
そんな女達も、今では彼を見限っている。
何なら私に哀れみを向けてくれるが、全然嬉しくない。
最初は、それはもう戦争の如く、彼を自分の男にしようと必死に尻尾振ってたのが、今ではもう尻尾を振るどころかこっちに寄るなと吠えているのだ。
乙女の心は秋の空とは、正にこの事だと思った。
そんなある夏の日の事だった。
珍しく学校にやって来た田中くんは、制服は着ずに私服の縞模様の長袖のシャツを着て、自分の席に座っていた。
見てるだけで暑苦しくなってくる様な格好なのに、彼は寧ろ涼しげな顔をしている。
そんな彼は、教室の入口で佇んでいる私を見つけると、犬の様に走ってやってきて、思いっ切り抱きつかれた。
こんな季節にくっつく奴があるかと引き剥がそうとしたが、彼の体温は想像よりもかなり低かった。
くっついてると、この暑い季節にはピッタリの冷たさで、低体温症にでもなってないかと心配になる程だ。
「何でこんなに体温低いの？」
「ぼく人じゃないんで。」
私の問いに真面目な声でそう返される。
普通なら暑さに頭がやられたかと言いたい所だが、彼は普通じゃないからとそれで納得した。
「あれ、珍しく抵抗はナシですか？」
「したい所だけど、君の体温を手放すのが惜しいのと、動くと余計暑いから。」
「じゃあ、ぼくの体温高かったら、冬も抵抗ナシ？」
「多分ね。」
「フフフ、四六時中くっついててあげますネ。」
不気味な笑を浮かべながら、彼は抱き締める力を強くした。
要らん事を言ってしまったと思ったが、今更後悔しても遅いので、私は大人しく彼に抱きつかれていた。
「Aさんの体温は暖かいですネェ、心地好くて眠ってしまいそうだ。」
自分の席に戻り、田中くんに横から抱きつかれてると、急にそんな事を言い出した。
HRまでまだ時間があるが、寝られると困る。
かく言う私も少し眠いので、二人でちょっぴり寝る事にした。
誰かが起こしてくれる事を祈って。
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ミネ丸(プロフ) - ルーシュ1101さん» ルーシュ1101さん、読んでくださりありがとうございます！遅めの更新かもしれませんが、飽きずに待っていてくださると嬉しいです！ (2月21日 3時) (
レス) id: 8755400abf (このIDを非表示/違反報告)
ルーシュ1101(プロフ) - 最近〓くんにハマったばっかりなので〓くんの小説で更新されているものがあって凄く嬉しいです！！！これからも更新頑張ってください！！ (2月20日 18時) (レス) @page5 id: e241173cc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミネ丸 | 作成日時：2024年2月3日 4時
