・ ページ5
.
月日は流れて、生徒会を引き継ぐ季節がやってきた。私は引き続き会計係をやることになった。
そして今日は引き継ぎの日。つまり、京本先輩と生徒会に集まる最後の日だった。
「もう1年経ったんだね〜早いね〜」
「そうですね」
「別に引き継ぐことなんて何もないよね(笑)」
「ずっと一緒にやってましたからね」
「あれ？そういえば次のもう1人の会計係は？」
「松村くんって子なんですけど、今日は用があって来れないみたいなので後日私が引き継ぎます」
「そっか」
「…1年間お世話になりました」
「え〜やめてよ〜寂しくなっちゃうじゃんか〜！」
「私も寂しいです」
「珍しく素直じゃん」
「珍しくが余計です。これからは受験勉強に精を出してください」
「残念でした〜俺は優秀なのでもう大学決まってるんです〜」
「うわ〜ウザい」
「ねぇ、俺先輩だよ？」
「じゃあもう明日からほぼ学校来ないんですね」
「そうだね、明日から自由登校だね」
「受験終わってるならのんびりできるじゃないですか、羨ましいです」
「ははっ、それが明日から父親の下について仕事の手伝いするからむしろ忙しくなるんだよね」
まじめんどくせぇ〜と先輩はヘラヘラ笑う。
ああ、まただ。またあの顔で笑うんだ。
「先輩。無理して笑っちゃダメですよ。せっかくのカッコいい顔が台無しです」
だから私は同じセリフを繰り返す。
「…相変わらずエスパーだね(笑)…でももう大丈夫だよ」
そこに、あの時みたいに今にも消えてしまいそうな彼は、もう何処にもいなかった。
「俺も強くならなきゃ、いつまでも自分の運命呪って、駄々捏ねてても仕方ないからね」
そう言って先輩は、少しぎこちなかったけど、私を真っ直ぐ見て、今までで1番綺麗に笑った。
「…もし、もし辛くなったら生徒会室へ来てください。…私はずっとここにいます」
「…うん、ありがとう」
「…先輩のご活躍を、お祈りしています」
それからというもの、私は毎日1人生徒会室に足を運んでいた。いつ先輩が来てもいいように、来る日も来る日も、ずっと生徒会にいた。
けれど京本先輩が来ることは1度もなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：哀 | 作成日時：2020年9月15日 2時
