メリーバッドエンド (ページ37)

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暑苦しさを感じて目を覚ますと、時計の針はもうお昼前を指していた。

さすがに昼はエアコンをつけないと暑いなと思ってリモコンを取ろうにも、俺にぴったりくっついて寝ているAがいるから身動きが取れない。

ちょっと離れてくれないかなと思いつつも、暑いのに俺にくっついてすやすや寝てるAが可愛くて、起こすのも可哀想だからエアコンを諦めて寝顔を眺めてた。

物心ついてない頃からずっと一緒に育てられてきて、こんな距離感でも気を許せるくらいのもはや家族に近い存在だから、お互いのことは大体なんでも知ってると思っていたのに。

彼氏になり得る男が近くにいたなんて聞いていない。

やっぱり一緒の大学に行けばよかった。

そうすれば今までみたいに俺がずっと引っ付いて他の男なんか寄せ付けなかったのに。

誰よりもAのことが好きな自信があるし、それこそ物心がついた時にはもうとっくに好きで、ずっとずっと好きで堪らないのに。

唐突に降って湧いた男に取られるなんて信じられない。許せない。

幼馴染なんて関係、得なようで損でしかない。

幼馴染じゃなければ、俺のことを男としてみてもらえたかもしれないのに。

そんなことをぐるぐる考えていたら、もぞもぞと動く音がして、Aが目を覚ました。

「おはよぉ、じゅり」

ふにゃっと笑って舌ったらずの寝ぼけ眼でそういうA。

…前言撤回。

「おはよ、A」

幼馴染も悪くはない。

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