メリーバッドエンド (ページ35)

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そしてふっとあいつのことを思い出しては、先に幸せになりやがって…仲間だと思ってたのに、と置いていかれた寂しさに打ちひしがれた。

なんだ、俺結構あいつのこと気に入ってたんだな、なんて気が付いてもあとの祭りで、

まあせいぜい俺の知らないところで勝手に幸せになってろって思っていた矢先のこと。

"ねぇ、あの女の子ヤバくない？"

"えっ、ヤバいじゃん！体も顔も傷だらけ…土砂降りなのに傘も刺さずしゃがみ込んでるし…警察呼んだほうがいいかな"

"どうしようね…"

そんな物騒な会話が聞こえてきて何かと思って顔を上げた先には、

「…あ、北斗だ」

まるで捨てられた子猫みたいにボロボロになったAがそこにいた。

「っ…なにしてんの！」

「なにって…うーん…捨てられた？」

「はぁ⁉バカなこと言ってないでとりあえず立って…」

「ねぇ北斗」

「なに」

「……幸せってなんなんだろうね」

そういう彼女は、いつかと同じように疲れ切った顔で虚ろに笑ってそう言った。

「……やっぱりねぇ、わかんないの。好きとか嫌いとか、幸せがなんなのかとか」

「…っそんなこといいから今は」

「もう色々めんどくさくなっちゃった」

「ねぇ！」

「いいよ、ほっといて」

「…え？」

「もういらないや。こんな欠落だらけの欠陥人間、もういらなっ…」

「…もう黙って」

勢いで抱きしめた体はひどく冷えていて、今にも折れそうなくらい細かった。

「あんたがいなくなったら俺はどうすればいいの」

「……どうしたの北斗」

「俺のことわかってくれるの…あんたしかいないんだよ…」

「…」

「もう好きも嫌いも幸せもなにもわかんなくてもいいよ…俺もお前に言われてからずっと探したけどわかんなかったよ…」

「…うん」

「わかんないなら一緒に探して見つけようよ…だからお願い、いらないなんて言わないで」

「…北斗、なんかきもちわるいくらい変わったじゃん、どうしたの？」

「……お前さぁ、人が必死になってんのに…」

「ふふっ、でも悪くないね」

そういって〇〇は俺の背中に腕を回してこう言った。

「…ねぇ北斗」

「なによ」

「今度は、私たちが幸せになれるまでずっと一緒にいようね」

「…バカ」

「え？」

「俺たちが幸せになってからもずっと一緒だろ」

「…なんかそれ、プロポーズみたい」

「…別にいいよ、それで」

ランデブー / END
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