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「ひー…疲れた…そういえばさ、なんで会計係なんかやろうと思ったの？」
「先生に頼まれたからです。内申点稼げればいいかなと思って」
「うわぁ、ザ・優等生」
「京本先輩こそ何でやろうと思ったんですか？」
「あー…俺は暇つぶし」
「随分面倒臭い暇の潰し方ですね」
「おおお…やっぱキャラ最高」
「…先輩ってドMなんですか？」
「…まぁ本音を言えば家に帰りたくないからなんだけどね」
そう言って先輩はふっと寂しげに笑った。
何で家に帰りたくないのか疑問に思ったけれど、多分そこは私が踏み込むべきではないと思った。
「…じゃあ先輩に仕事全部やってもらって私はサボろうかな」
「え、なんでそうなるの？？Aちゃん鬼畜なの？」
「そうすればたくさん暇を潰せますよ」
「Aちゃん…君やっぱり面白すぎる最高」
やっぱり京本先輩はドMだと確信した。
それからというもの、私たちは毎日のように生徒会室に集まった。
毎日やるほど仕事なんてないから、ある日はトランプをしたり、ある日はオセロをしたり、ある日はずっとお喋りしたり。ただひたすら、私たちは一緒に過ごした。
しばらく先輩と過ごしてわかったことは、京本先輩は見かけによらず人懐っこいこと、ちょっと不思議ちゃんでブッとんでる所があること、ロックとトマトと愛犬のあんずが大好きなこと、ご両親がとても厳しい方で、家にいることが苦痛だからあまり家にいたくないこと、本当は親の会社なんか興味がなくて、跡なんか継ぎたくないこと、だった。
いつも私は先輩が話すことをただ聞いていた。本当にただ、聞いていた。
私が想像していた以上に京本先輩が置かれている世界は複雑で、私ごときが安易に踏み込めるものではなかった。
ただ、私が話を聞いているだけでも、先輩がとても嬉しそうにしていたから、私も嬉しくなって、ただひたすらに先輩の話を聞いていた。
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作者名：哀 | 作成日時：2020年9月15日 2時
