検索窓
今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:7,032 hit

広がる熱とどこかで聞いた声。 ページ32

「レン、大丈夫か?」

「…まさか龍巳に助けてもらうなんて、考えた事無かったわ。」

「そうかよ。」


手を差し出すとレンはその手を取った。

血の通った温かい手だ。

人間だと再確認する。

唯の殺戮兵器じゃない、人間。

ほっと安堵する。


「刀、折れてるぞ。」

「本当だ…でも、もう必要ないよ。」

「そうなのか?」

「うん、必要ないの、もう…」


ボロボロと流れ落ちる涙を龍巳は見ないフリをした。

それがレンにとってどんなに嬉しかったか、

どんなに安心したか。


「記憶はどうだったの?」

「後悔もあったし、凄く色々あった。」


レンはそう、と言って何も言わなかった。

龍巳はレンをぱっと見た。


「もう俺は"死神"じゃない、だから安心しろ。」

「うん、うん。」

「…もう泣くなよ。」

「うん、ごめん。」


涙を拭う手が優しくて、暖かくて、少し力が強くて、ちょっと痛い。

不器用な所は変わらない。

何も変わらない。


(変わらなくていいんだよ、変わらないでいてよ。)


切なる願いは龍巳に届いていた。


「ほら、恋仲さん居るぞ、行ってこいよ。」

「え?お、おう。」


アストの方へ向かう龍巳の背中を呆然と見た。

やけに大きくて、

昔よりも大きく見えて、

猫の友人は小さく手を振った。

占い師は天を仰いだ、キラキラと舞い落ちる水晶の欠片が地に刺さる。→←龍は選択を迫られる。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

龍巳@キチガイ - 一部名前を変えている方もいらっしゃいます、コメント欄で名前を晒すのも止めて下さい。中傷、無断転載も同様です。ルールを守って下さいね。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 感想はこちらのコメント欄にてお願いします、TwitterのIDを載せたりするのは絶対にやめて下さい、評価は星とTwitterのふぁぼでお願いします。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。  
作成日時:2016年10月6日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。