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荒廃と瓦礫、喧騒の中で再び歩み出す。 ページ28

「皆倒れてる…」

「すぐに起きるよ。」


分かってるから、と龍巳は空を見上げた。

青空が広がりそこにあった月は宇宙へと帰っていた。

瓦礫の上に座りパーカーを脱ぐ。

汚れたシャツの隙間から銀のネックレスが光る。

強い日差しの中龍巳はハッとする。


「ちぃちゃん…!」


ちぃは日差しが駄目だとツハラエルに言われていた筈、

この日差しでは灰になっている可能性がある。

吸血鬼は日差しを浴びると灰となる、昔本で読んだ事を思い出していた。


「ちぃちゃん、ちぃちゃんっ…!」

「龍、君…?」

「ちぃちゃん、良かった…!死んじゃったかと…」


ちぃは目を丸くした。

目の前に居るのは紛れも無い龍巳…

しかし抑揚の無いあの声とは違く色とりどりの声を出す。

本当に龍巳なのかと疑う程だった。


「龍君…記憶が戻ったんだね、良かった…怪我してるよ?」

「俺よりもちぃちゃんが先決だ、血…止めねぇとな」


シャツをビリリと破りちぃの怪我を応急処置する。

破いたところから汚れた包帯が覗く。


「龍君…」

「あー…足りねぇしだめか…ツハラエル!どこだ!?」

「せんぱぁい…助けてぇ…」

「どうしたんだお前。」

「瓦礫に足挟まれて動かない…足痛い…」


仕方ないな、と龍巳がツハラエルを救出する。

足から血が出ていた。


「これぐらいだったらいいか。」


龍巳がシャツをまた破く。

ツハラエルのぐにゃぐにゃした足に巻いて肩を貸す。


「ちぃちゃんの怪我診てやってくれ、簡易テントを持ってきてもらおう。」

「ごめんね、龍君…」

「いいよ、ちょっと他の人も見てくるから、ツハラエル包帯くれ。」

「どーぞ、先輩。」


包帯を渡された龍巳は意気消沈した戦場を見渡した。

知り合いや部下や上司、軍警師団に獣人。

戦争は規模が大きすぎたのだ。

龍巳はそのままフラフラ歩いていると見慣れた顔を発見した。


「姉さん!?」


月は瓦礫にうち上げられボロボロの状態で横たわっていた。

その近くに麗子も倒れている。


「麗子もか…チッ…包帯が足りねぇな…」


包帯を月と麗子に使うともう無くなってしまった。


「ん…龍巳ちゃん…?」

「たつみん…これ、どういう状況?」


二人はバランス悪く立ち上がる。


「お二人はまだ動けるか?」

「余裕。」

「何々たつみん、喧嘩?」

「俺の部屋、もしくはツハラエルの部屋から包帯沢山とってきて、あと簡易テント。」


そう言うと麗子はがっかりした様子だったが渋々歩いて行った。

月は急にいなくなったのですぐに持ってきてくれると確信した。

風が吹き始めた。

その笑みは何かを溶かした。→←目が覚めると…



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龍巳@キチガイ - 一部名前を変えている方もいらっしゃいます、コメント欄で名前を晒すのも止めて下さい。中傷、無断転載も同様です。ルールを守って下さいね。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 感想はこちらのコメント欄にてお願いします、TwitterのIDを載せたりするのは絶対にやめて下さい、評価は星とTwitterのふぁぼでお願いします。 (2016年10月7日 22時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。  
作成日時:2016年10月6日 22時

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