検索窓
今日:20 hit、昨日:74 hit、合計:739,292 hit

黒の脅し 3 ページ9

「賢いお前なら、話してくれるよな。」


それは、もう疑問形では無かった。

顳かみに当てられた銃が、酷く冷たい。


耳元でカチャリと、嫌な音がし、
私はこの人に本気で脅されているのだと理解した。

それほど私の持っている情報は、この人たちにとって、喉から手が出るほど欲しいものなのだろう。

色々なお客さんがこぼしていった、秘密。

警察の今後の動き方だったり、反乱組織についてだったり、スパイについてだったり……


彼には、感謝をしている。
なんて言っても、この建物を用意してくれたのも、この商売を用意してくれたのも彼なのだ。

しかも、こうやって時々会いに来てくれる。

彼は、私の恩人の1人だし、居なくてはならない人だ。

それでも、


『申し訳ありません。
お客さんの個人情報を話す訳にはいきません。』

「………」


同じ言葉を繰り返す。

何よりも大切なものは、信用なのだ。

私は決して裏切らない、裏切らないからこそ、相手も私に本当の心を見せてくれる。

私の商売の種なんてそんなものだ。


「……それがてめぇの答えか。
自分の死よりも、信用を選ぶか。」

私は静かに頷く。

すると彼は、フッと力を抜き銃を下ろした。

彼の考えが分からず見つめていると、何も持っていない方の手で頭をなでられた。


「敵わねぇな、お前には。100点の回答だ。」


『殺さないんですか。』

「殺して欲しいのか。」

この質問、前にも受けたが…今回は首を横に振っておいた。

そんな私を見て、頭を撫でる手が一層優しくなる。
先程とのギャップにクラクラしそうだ。


「悪いが、試させてもらってた。警察や面倒な奴らがお前を脅して俺らの情報を盗もうとするかもしれないからな。」


そう、秘密を零した多くのお客さんの中に、彼らも含まれているのだ。

ここで、私が命ほしさに情報を零したら、向こうにも自分達の情報が零す可能性が高いとわかる。

お客さんの秘密は、必ず守る。
どちらの見方もしない中間地点は彼らにとっても有難いようだった。

考え方を変えれば、唯一の休息の地なのだから。


『私は、貴方にまだ必要とされているということですか?』

「お前の変わりは、誰にも出来ない。」


私の頭をなで続ける彼の手は、とてもやさしかった。

迷った子猫 1→←黒の脅し 2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (291 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
734人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ネイト - リクエストで「ジンと赤井さんの取り合い話の話」って出来ますでしょうか? (2019年9月10日 7時) (レス) id: 67fc31259c (このIDを非表示/違反報告)
ネイト - 初コメント失礼します!自分こういう内容の小説ドストライクに大好きなので滅茶苦茶嬉しいです!毎日読んじゃうくらいです!私ジン推しなのでジンが出て来て凄く嬉しいです!これからもずっっと応援しています!無理しない程度に頑張ってください! (2019年9月10日 7時) (レス) id: 67fc31259c (このIDを非表示/違反報告)
飛鷹琴葉(プロフ) - 『殺戮の天使』って知ってますか? セリフが似ていた気がするので、勘違いだったらすいません! (2016年10月20日 22時) (レス) id: 2893b59b0a (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ(プロフ) - 言い忘れてましたが、アルビノで差別を受けている人もいます、不謹慎だと思いませんかね? (2016年10月16日 13時) (レス) id: 564a3dbb91 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ(プロフ) - アルビノって目は赤くなるんですよ目には毛細血管いっぱいありますし、目が色素無いってのは可笑しいですよ、メラニンの生合成で色素が薄くて色素が薄すぎて毛細血管がたくさんある所では薄ピンクに見えたり赤く見えたりするんですよ (2016年10月16日 13時) (レス) id: 564a3dbb91 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:0.001 | 作成日時:2016年5月28日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。